超短編小説『ファーストアプリ』1

はじめに

この短編小説は全10話でお届けする物語です。

1日、1話ずつ更新をしていきますので、ぜひ最後までご覧ください。

題名:「ファーストアプリ」

僕は高校卒業後、まともに就職せずにファミレスでアルバイトをしながら生活していた。

親には、自分の本当にやりたいことを探すためにフリーターになると言ったが本当は、就職難で就職先が見つからず現実から逃げていただけだった。

今の唯一の楽しみといえば、趣味のスマホゲーム作りで毎日少しずつ素材やプログラムを書いていた。

しかし、このまま一人で作っていたらあと、5年以上は確実にかかる。

別に収益が目的ではないので、一人で地道に進めるのもいいが、世の中の変化が激しくなったこの時代に5年後、スマートフォンが存在する保証もない。

そこで、僕は、一緒にアプリ作りを手伝ってくれそうな仲間を探した。

中学時代の友達の多くは大学に進学しており、高校時代の友達は就職が殆どで僕のゲーム作りを手伝ってくれる人に心当たりがなかった。

時間が余るほどあってゲームに興味がある人といえば思いつくのは今のバイト先のメンバーだけだった。

友達といえるほど仲は良くなく、仕事以外では殆ど話したことがないがフリーターである事とゲームが大好きであるということは知っていた。

「あの・・・ 話が・・・」

「どうしたの?」シフトが同じメンバーの中で一番先輩である斎藤が心配そうに言った。

「少し相談がありまして・・・ 仕事終わりに少しお時間いただけますか?」

「いいよ。 なんか、深刻そうだね。 じゃあ、俺の方が早く上がるから目の前の喫茶店で待っているよ」

「すみません。 仕事終わったらすぐに行くのでよろしくお願いします」

会話が終わると、二人は仕事に戻った。

僕が仕事を終えて、目の前の喫茶店に行くと斎藤が待っていた。

「おまたせして申し訳ございません」

「大丈夫。 どうせ暇だし。 なに飲む?」

「じゃあ、アイスコーヒーで」

そういうと、斎藤はウエイターを呼びアイスコーヒーを注文してくれた。

「っで、相談ってなに?」

「実は、スマホゲームを僕一人で作っているのですが、もしよかったら手伝ってくれませんか」

「スマホゲーム? どんなの?」

「よくあるパズルゲームをクリアしていってダンジョンを進めるという形のゲームです。  実際にパズルの部分は完成しているので一度プレイしてみてください」僕はそう言って自分のスマホを斎藤に渡した。

斎藤は、無言のまま10分程度ゲームを続けた。

「おもしろいよ。 これを山田一人で? 今までのパズルゲームとは少し違ってよく考えられていると思う。 後は細かいデザインとバグを修正すれば十分ゲームとして成り立つと思うよ」

「ありがとうございます。 それで、手伝ってくれますか?」

「学生時代にプログラムを勉強してきたからこれくらいのゲームだったら役に立てそうだから手伝ってあげるよ」

「ありがとうございます」

「ただ、プログラマは俺と山田で十分だとして、デザイナーが必要だな」

「そうですね。 誰か知り合いとかいないですか?」

「確かバイトの宮本がデザイン学校を卒業していたな」

「あの宮本さんですか?」

「そう。 学生時代は将来が期待されていたデザイナーだったらしいけど、一つのミスで自信を無くしてデザインの道を諦めたんだって」

「そんな過去があったんですね」

「あと、山下と近藤もデザイン学校行ってるぐらいだし、できるでしょ」

「そうですね。 誘ってみます」

「じゃあ、俺は宮本誘うから、山田は山下と近藤に電話してみてよ」

そういうと、二人はそれぞれ電話をかけて喫茶店へ呼び出した。

最初に来たのは宮本だった。

「斎藤、話ってなんだよ」

「まぁ座れよ」

宮本は山田の横に座った。

「実は、山田と俺でスマホゲームを作ろうって話になったんだけど、デザイナーがいなくて」

「なに? 俺にデザインを?」

「さすが、飲み込みが早いね」

「やだよ。 もう、デザインはやりたいとも思わないし」

「そんなこと言うなよ。 別に仕事じゃないんだからクライアントもいないし自分の好きなようにしていいからさ」

「自分の好きなようにね・・・ 本当に俺のデザインに文句言わないか?」

「言わないよ。 手伝ってくれるってことか?」

「どうせ暇だしな」

「ありがとう。 宮本ならやってくれると思ったよ」

「ありがとうございます。 少ないですが完成した時には謝礼はお支払いするので、よろしくお願いします」

「別に謝礼なんかいらないよ」

「いや、本当に少ないので、あんまり期待しないでくださいね」

そうしていると、山下と近藤も喫茶店にやって来た。

二人とも学校とバイトで忙しいながらも、できるだけ協力してくれると言ってくれた。

これでメンバーも揃い、本格的なスマホゲーム作りが始まった。

2話へ続く




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