東京方面から成田までを結ぶ「京成電鉄」は多くの人がご存知だと思いますが、「新京成電鉄」と言う会社はご存知ですか?
新京成電鉄は、京成グループの会社ですが、東証一部上場企業であり、関東唯一の準大手私鉄として、京成電鉄とは完全に別の鉄道会社として扱われています。
松戸駅から京成津田沼駅までを結ぶ、「新京成線」のみを運営しており、営業距離自体はかなり短いのですが、コロナ禍においても子会社を除いた単独としては、しっかり利益を出しており、かなり順調な経営状態です。
会社名に「新」と付きますが、会社ができたのは昭和21年で、すでに75年以上の歴史があります。
しかし、なぜ京成電鉄は、こんなにも優良な路線を別会社にしたのでしょうか。
今回は、新京成電鉄が京成電鉄と別会社として運営されている理由について解説していきます。
もともとは旧日本軍の演習場だった
新京成線はもともと、旧日本陸軍鉄道連隊の演習場として使われていました。
なので、カーブが多く、制限速度も85kmに制限されており、旅客路線としてはかなり特殊な線形をしています。
旧日本陸軍鉄道連隊の解散後、レールは西武鉄道に払い下げされ、軌道敷はそのまま残されていました。
そこで軌道敷の払い下げに名乗りを上げたのが西武鉄道と京成電鉄です。
ただ、地の利を活かせると言うことで、西武鉄道は敗れ、京成電鉄が払い下げを受けることになりました。
京成電鉄が運営するにはリスクが大きすぎた
旧日本陸軍から払い下げを受けたものの、京成電鉄がそのまま運営するにはリスクがありました。
と言うのも、演習場として利用されていた沿線周辺は、今のように発展しておらず、どうなるのか不透明な状況でした。
なので、京成電鉄がそのままリスクを負うと、最悪の場合、京成電鉄までも倒産しかねないため、リスクを分散するべく子会社に運営を任せたのが新京成電鉄の始まりです。
京成電鉄と結びつきも強い
冒頭では京成電鉄とは完全な別会社だと言いましたが、結びつきはかなり強いです。
例えば、車両も京成電鉄とほぼ同じものを使っており、京成電鉄への乗り入れも行っています。
定かではありませんが、研修や訓練も京成電鉄の施設を使って行われていると言う情報もあります。
グループ企業で、大株主なので、当たり前と言えば当たり前ですが、京成電鉄との関係性も強い状況です。
今後、合併はありえるのか?
京成電鉄と新京成電鉄は今後、合併の可能性はほぼないと考えられます。
理由としては経営が概ね順調だからです。
経営が不安定になれば、合併して一つの会社として運営した方が、経費も削減できますが、そうでない限り、今のスタイルを崩すことにリスクが生じます。
なので、現時点では合併することはなさそうです。