2021年10月1日、2階建て新幹線のE4系が定期運用から終了します。
E4系は、現在、全ての新幹線の中で、唯一の2階建て車両であり、これの終了に伴い、日本の新幹線から2階建て車両が消えると言うことになります。
実は、2020年末には定期運用から外れる予定だったのですが、2019年に発生した台風による新幹線の浸水で、車両が不足すると言うことから延命措置がとられていました。
1997年に登場してから24年間、E1系新幹線に続き、Maxの愛称で親しまれ、圧倒的な存在感を見せてきた車両でしたので、少し寂しい気持ちもあります。
どうしてJR東日本は2階建て新幹線を廃止してしまうのでしょうか。
E4系は、登場から24年間が経過しているので、劣化も激しく、そろそろ寿命だと言うのは分かります。
だったら、新しい2階建て新幹線を製造すればいいのではと考える事もできます。
しかし、JR東日本がそうしなかったのには、理由があります。
今回は、2階建て新幹線が廃止される理由について解説していきます。
通勤需要が少なくなった
2階建て新幹線が誕生した理由は、首都圏への通勤需要拡大に対応するためでした。
今では少なくなりましたが、バブル景気の時代は、新幹線で通勤する人が大勢いました。
その当時は、企業にも余裕があり、福利厚生の一貫、地方に住む優秀な社員の確保で新幹線定期を容認していたようです。
しかし、バブルが弾けた頃には、企業にも余裕がなくなり、新幹線定期の支給を廃止する企業も増えました。
それにより、新幹線通勤をしていた人が首都圏へ流れ込み、首都圏の人口が大幅に増加しました。
現在でも新幹線による通勤需要はありますが、全盛期ほどではありません。
よって、2階建て車両による大量輸送の必要がなくなったと言えます。
スピードが出せない
2階建て新幹線は車両が重たい分、スピードが出しにくい車両です。
制限速度は時速240kmまでしか出せず、東北新幹線、北陸新幹線では利用しづらい状況でした。
実際に、早い段階で東北新幹線からは引退しており、近年は、車両の制限速度と路線の制限速度が同じ、上越新幹線のみで活躍していました。
しかし、その上越新幹線でも制限速度を現行の時速240kmから時速275kmに引き上げる計画があります。
つまり、スピードの出しにくい2階建て新幹線は必要なくなったと言えます。
今後、2階建て新幹線は誕生しないのか?
今後についてはわかりませんが、現在の社会状況が大きく変わらない限り、2階建て新幹線は、E4系を最後に誕生しないと考えています。
理由は、やはり人口の減少です。
人口の減少により、大量輸送の必要性はなくなりました。
それよりも、高頻度で高速に運転してくれた方がお客様も喜んでくれます。
また、JR東日本としても客単価をアップさせることを重視し、グランクラスやグリーン車を積極的に導入していくと思います。
そうなると、2階建て新幹線は構造上、そういったサービスを提供しにくくなります。
よって、2階建て新幹線が今後誕生する可能性は極めて低いでしょう。
もう乗れないのか?
ラストラン終了後の10月2日以降は、2階建て新幹線の定期運用は終了します。
つまり、臨時運用ではまだ乗車できる可能性もあります。
2階建て新幹線のメリットは大量輸送ですが、実はそれだけではありません。
2階から見える眺望は、普段の新幹線とは違った風景を見させてくれます。
これを楽しみに、2階建て新幹線を予約した人も多いことでしょう。
今後は、臨時運用の観光列車として活躍してくれることを期待しています。
ただ、確実に乗れるのは2021年10月1日までです。
E4系にどうしても乗りたい人は、10月1日までに乗車しておきましょう。