ボクシングはなぜ傷害罪が適用されないのか?

ボクシングや相撲、K-1などで傷害罪が適用されない理由をご存知ですか?

「スポーツだから当たり前だろ」と思っている人も多いと思いますが、同じスポーツでも野球の乱闘などでは傷害罪が適用される場合もあります。

「いや、殴り合いを前提としたスポーツだから」との声も聞こえてきそうですが万が一、殺してしまった場合はどうなのでしょうか。

結論を言うと殺人罪には問われません。

どうして、傷害罪・殺人罪が免除されるのでしょうか。

そこには、しっかりとした法律が存在します。

そこで、今回はボクシングなどが傷害罪・殺人罪にならない理由を解説していきます。

 

犯罪成立の定義とは?

罪に問われる定義は刑法によってしっかりと明記されています。

 

1、構成要件該当性

2、有責性

3、違法性

 

このすべてが揃って、初めて犯罪は成立します。

それぞれ、もう少し詳しく見ていきましょう。

 

構成要件該当性

難しい言葉ですが、簡単にいうと法律に書かれている事に当てはまるかと言う事です。

例えば、殺人は刑法により有罪であることが明記されていますが、虫を殺す事はどの法律にも明記されていません。

つまり、前者は当てはまり、後者は当てはまらないと言う事です。

 

有責性

犯罪発生時に行っている犯罪行為が悪い事だと言う判断出来る状況にあったかと言う事です。

これによって、例外なく除外されるのが14歳未満の子供たちです。

例え、殺人を犯しても責任能力が無いと判断され、罪になりません。

そして、もう一つが心神喪失及び心神耗弱している状況にあるかと言う事です。

この状態にあるか判断するのは、ニュースでよく耳にする「精神鑑定」と言う方法です。

よく勘違いされているのですが、これは精神状態が異常なのか、異常ではないのかを判断するテストではなく、あくまでの犯罪発生時に責任能力があったかを判断するテストです。

当たり前ですが、犯罪者の多くは精神状態が異常です。

なので、精神状態が異常かどうかは、精神鑑定では重要視されません。

 

違法性

日本では正当防衛・緊急避難・正当業務行為は違法でないと判断されます。

正当防衛は、誰もが知っている通り、自分を守る為に犯罪を犯す行為です。

例えば、相手が自分を殺そうとしてきたので、殴って気絶させた場合、正当防衛が認められ罪に問われる事は無い場合があります。

ただし、あまりにも過剰な防衛は違法性があると判断される事もあります。

緊急避難とは自分が助かる為にやむ得ない行為を指します。

例えば、犯罪行為(殺人など)を行うよう強要され、それを実行した場合、脅され方の度合いにもよりますが、それが命に係わる緊急避難と判断されれば違法性が無いと判断されます。

最後に、正当業務行為とは業務に必要な犯罪行為は違法性がないと判断するものです。

例えば、死刑を執行する刑務官は殺人罪が適用されます。

しかし、正当業務行為であるため違法性は無いと判断されるのです。

 

ボクサーも正当業務行為に該当する

ボクサーも業務の一環で殴り合いを行っているので、傷害罪・殺人罪は適用されないのです。

もちろん、業務を超えて行った場合は、この限りではありません。

例えば、審判が止めているにも関わらず殴り続けた場合は、正当業務行為を超えての犯罪行為で違法性があると判断される場合があります。

 

牧師が犯罪蔵匿でも正当業務行為になる!?

正当業務行為に関する判例では、面白いものも存在します。

犯罪を犯した高校生が教会に逃げ込み、牧師はその高校生を数日間匿い、落ち着いた段階で任意出頭させるという事件がありました。

これは、明らかに犯罪者を匿い、犯人蔵匿及び証拠隠滅の罪が適用されると考えられます。

しかし、裁判所の出した答えは、牧師の匿った行為は牧会活動の一環で正当業務行為に当たるとしたのです。

いや、普通に考えたら犯罪者を匿った時点でアウトなのですが、住居侵入罪という比較的軽い犯罪だったうえに、実害がそれほど出てない事を踏まえて、この判決だったのだと思います。

おそらく、これが殺人罪であれば判決は全く別の結果だったのではと考えられます。

 

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