本当に保育園は増設すべきなのか? 今やるべき事は他にある

近年の政府による「女性の活躍」のてこ入れにより、保育園の早急な増設が叫ばれています。

しかし、これは本当に必要なんでしょうか?

 

急に保育園が必要になった理由

わずか十数年前までは、女性は産後に職場復帰することはそれほどメジャーではありませんでした。

年単位で不在にするし、子どもは急に熱を出したりして仕事に穴を開ける可能性が高く、会社側も活用を敬遠したし、女性側も気兼ねして職場復帰などできませんでした。

産休育休の制度が整っていない企業もたくさんありました。

しかし、ここ最近になり、海外では女性は結婚して子どもを持っても順調に昇進しているケースを例に挙げ、日本が男女雇用機会均等の面から遅れていることが指摘されるようになりました。

加えて、長期間の不況による税収減やマンパワー不足から、政府も女性の活用を後押しするようになり、慌てて産休育休の制度を整える企業が増えました。

世間の後押しを得て、女性は大手を振って長期休暇をとり、職場復帰して時短勤務できるようになったのです。

不況の波で夫の給料や年金をあてにできなくなった今、生涯収入額の面から職場復帰することがむしろスタンダードになり、急に保育園が必要になりだしたのです。

 

制度が空回りして現場に合ってない

しかし、制度を先に整えたものの、いざ産休育休時短勤務を受け入れてみると、その皺寄せは制度を利用しない独身者・男性社員・子なしの既婚社員に押し寄せ、不満が蔓延しています。

バブル以降、一人頭の仕事量を限界まで背負わせる働き方が一般的になりました。

そこへ再びリーマンショックがあり、ただでさえギリギリのキャパシティで働いていた社員達に、出産した女性社員のフォローまでがのし掛かっています。

また、企業に制度を導入させたはいいものの、肝心の子どもを預ける先がなく、結局職場復帰できないケースも数多くあります。

制度導入を急ぎすぎ、現場で実際に何が起こるか想定していなかったと言えます。

 

本当に必要なのは保育園なのか?

では、この現場の混乱を1日でも早く収めるためには、何が必要なのでしょうか?

政府が言うように、保育園の増設と保育士の育成・増員なのでしょうか?

しかし、最も保育園が必要とされている都市部に限って、保育園を作る土地がなく、住民に建設を反対されたり、ビルなどに無理やり保育園を作るはめになっています。

しかし、園庭のない小さな保育園で、何人もの子ども達が狭い部屋に長時間閉じ込められ、散歩に出ても車やビルばかりで公園も満足にないような環境が、果たして子どもに良い影響があるのでしょうか?

保育士の育成などは数年~数十年単位で時間のかかる問題です。

もっとスピーディーに問題解決出来ないのでしょうか?

加えて日本は少子化傾向にあり、今急激に保育園や保育士を増やしても、将来不要になる恐れも出てきます。

これらを一度にすぐに解決するには、保育園の増設ではなく、育休期間の延長の方がより早く効果的だと思います。

今日本の育休は最長産後1年が一般的です。

良心的な企業ならば2年までとらせてくれる所もあります。

0~2歳までは最も手がかかる時期で、保育士一人当たりが面倒見られる人数が少なく、結果待機児童が出る事に繋がっています。

しかし、3歳を過ぎれば保育士一人当たりの子ども数がぐんと増え、枠に余裕ができ、保育園を増設しなくても入れるケースが増えます。

また、時間のかかる保育士の育成を待たずに待機児童問題が解決できます。

さらには時短勤務をなくすことができ、復帰してすぐにフルタイムで働く事が出来るので、他の社員達の不満を減らす事にも繋がります。

将来不要になるかもしれない保育園や保育士を慌てて増やすことに税金を費やすよりも、育休3年制を導入し、企業にその分の費用負担を税金でまかなうようにした方がよほど効率的です。

子どもも、大切な生後3ヶ年を劣悪な環境で過ごすより、親の手元で過ごせた方が、よりよい環境であることは目に見えています。

育休を3年まで延長すること、これが今一番必要な事ではないでしょうか?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です