2018年7月7日、活発な梅雨前線による記録的な大雨に見舞われた関西エリアでは、JR西日本のほとんどの路線で始発から運転を見合わせました。
前日に「始発から運転を見合わせる可能性がある」との発表がありましので、大きな混乱はなかったようですが、それでも通勤客の一部は駅に来てから、見合わせを知る人もいたようです。
しかし、JRがほぼ全滅している中、私鉄は通常通り運転していたようです。(一部を除く)
ほぼ、同じ場所を走る関西の私鉄はなぜ、JRが全滅している中、運転を続ける事が出来たのでしょうか。
今回は、運転が続行出来た、理由を解説していきます。
安全基準がJRほど厳しくない
電車を運転するか、見合わせるかには、明確な安全基準により判断されることが殆どです。
関西の場合ですと、JRよりも私鉄のほうが線路幅も広く(一部除く)、運行本数も少ない事から、JRほど厳しくない事が考えられます。
また、JRの場合は貨物列車など旅客列車よりも重たい車両を走らせているのも、安全基準が厳しい理由になっていると考えられます。
関東の場合も京急や京成は、新幹線と同じ線路幅なので比較的、運転見合わせが少ないのかもしれません。
運転範囲が狭い
私鉄の場合は、JRと異なり運転範囲が限られたエリアです。
日本最大の営業キロを持つ近鉄であっても500kmと、JR西日本の4900kmには到底及びません。
また、一つの電車の移動範囲を考えても、JRの場合200km以上を移動するのに比べて、私鉄の場合は100km程度です。
そう考えると、複数の地点で異常が起こる天災に限っては、JRの方が安全確認に時間がかかるのは仕方のない事です。
臨時運転が容易
JRの場合、複数の直通運転や特急運転により、車両の運用が複雑になり、無理に電車を動かすと、一地点に多くの電車が集まりすぎてしまうという事もあります。
それに比べて、私鉄の場合は、直通運転が増えているものの、緊急時には単独で運営できるように、予め設備が整ているので、臨時運転が容易です。
実際に今回の大雨でも、行先を変えて運転していた私鉄もありました。
走っている場所が違う
そもそもを言うと、JRと私鉄では走っている場所が違います。
関西の場合は、並走している区間も多いですが、それでも一部の区間に限ってのことで、基本的には別の場所を走っています。
そう考えると、JRの場所は危険で、私鉄の場所は危険ではないという判断にも納得が行くと思います。
実際に関西では、私鉄が海側・JRが山側を走る区間も多く、大雨においては山側の方が増水や土砂崩れなどのリスクが高くなることは当たり前で、運転を見合わせるのも納得出来るはずです。
私鉄でも止める時はある
今回の大雨では、午前中に限っては私鉄が頑張って運行していましたが、午後になると、一部の私鉄は運休になっていました。
ですので、JRがさぼって、私鉄が稼ぎに走っているという訳ではなく、あくまでも安全を第一に考えて各社とも運行しているという事です。
電車が止まるという事は、大事な予定をキャンセルしたり、会社に遅れたりと、大変な事もあると思います。
しかし、鉄道会社も安全を第一に考えて、止めています。
たまに、数分遅れですら駅員さんに文句を言っている人も見かけますが、そんなに大切な用事があるなら、そのようなリスクも考えて行動するのが本当の社会人です。
電車が止まっているからと言って、鉄道会社を責めず、ゆとりの時間が貰えたと思って、ゆっくり再開を待っていただきますよう、ご協力をお願いします。