衆議院議員選挙と同時に行われる、最高裁判所裁判官の国民審査をご存知ですか?
これは現在、最高裁判所で裁判官として就任している人が、このまま裁判官として続けていくのにふさわしいのか国民に審査をするものです。
日本では、法を犯した時、法律に基づいて裁かれる事になるのですが、法というのも万能ではなく、解釈によってはどちらにも取れると言うことがあります。
例えば、選挙における1票の格差問題というものがあります。
選挙の大前提として、国民全員が平等に投票できる権利を持っており、その効力は公平でなければなりません。
しかし、選挙区における有権者数の違いで、1票に対する重みが異なってしまいます。
有権者が1000人の選挙区と、100人の選挙区では1票の効力が10倍違うと言えます。
これでは、平等で公平な選挙とは言い難いとも考えられますし、1票の重みが変わったとしても、別の選挙区の話なので問題ないという考え方もできます。
こう言ったように、現在の法律では不十分な事に対してどのように判決を下すのか決めるのが裁判官です。
また、具体的な事件でも裁判官の判決は必要です。
身近な例で言うと殺人事件が発生したとします。
しかし、その犯人は被害者に悪質なイジメを受けていました。
殺人罪の場合、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役となるのですが、イジメの被害に合っていたのに死刑というのは罪が重すぎます。
逆に無差別で複数人を殺害している場合は、死刑になるでしょう。
こう言った、どのレベルで刑を下すのかを決めるのも裁判官の仕事となり、その頂点にいるのが最高裁判所の裁判官です。
つまり、どういう事かというと、最高裁判所の裁判官の判決は絶対であり、それが間違ったとなると日本の社会は崩壊します。
それを防ぐためにも、この人を裁判官にしておくのはいいのかということを決めるのが、国民審判です。
辞めさせたい人を投票する
それぞれの裁判官の過去の判決や思考などは最高裁判所のホームページに掲載されています。
これらの情報を見て、この判決はおかしい、この判決は考え方が自分と違うと言った場合、辞めさせることができます。
そして、全体の投票数のうち、辞めさせたい人の数の方が上回れば、その裁判官は最高裁判所の裁判官を辞める事になります。
議員選挙とは異なり、なって欲しい人を選ぶのではなく、辞めさせたい人を選ぶという事で、少し抵抗がある人もいるかもしれませんが、法解釈の最終決定を決める大事な人なので、考え方がおかしいと思う人には辞めてもらうのが最適なのです。
どのように投票するのか?
国民審判の投票方法は、投票用紙に現任の裁判官が一覧で記載されていますので、辞めさせたい人に「×」マークを付けるだけです。
たまに、続けて欲しい人に「◯」マークを付けてしまったという人もいますが、「×」マーク以外の記載があれば、無効票になってしまいます。
なので、絶対に「×」マーク以外は記載しないようにしましょう。
そもそも投票にはいくべきなのか?
選挙にしても、国民審査にしても投票は国民の権利です。
なので、行くも行かないも自由です。
日本は他国に比べて投票率が低いと言われています。
政治への関心の少なさが投票率に表れているのですが、政治への関心が低いからと言って悪いことはありません。
むしろ、政治への関心が低いということは平和だと言い換えることもできます。
ただ、このまま多くの人が政治に関心の無いまま時が進むと、間違いなく政治は悪くなります。
そうなった時は、投票率が上がってくるのだろうと考えられますが、今私たちが1票を投じることで、悪い政治にならないのであれば、投票する価値があるのかと思います。