横浜駅から元町中華街駅までの約4kmを結ぶ、みなとみらい線という路線があります。
この路線は、2004年に開業した比較的新しい路線で、開業して以来、東急東横線と直通運転を行っています。
というより、みなとみらい線だけで完結する列車の設定はほぼなく、東急東横線と一体となり運営されているのが現実です。
みなとみらい線を運営する「横浜高速鉄道株式会社」は、横浜市や神奈川県と民間企業が出資する第三セクターですが、その中には東急も出資を行っています。
だったら、東急東横線の延伸として開業した方が案内も分かりやすいですし、管理会社が同じということで経費も抑えられます。
実際に東急こどもの国線は、設備のみ他社から借りて東急線として運営を行なっている実績もあります。
しかし、そうできなかったのには理由があります。
今回は、みなとみらい線がどうして東急線として開業できなかったのか解説していきます。
建設コストが高すぎたから
一番の理由は建設コストが高すぎたことです。
みなとみらい線が走る、みなとみらい地区は埋立地であることから地盤が非常に軟弱である事に加え、地下深くを走行することから建設コストが他路線に比べて非常に高額でした。
具体的には3000億円と言われており、たった4kmほどしかない路線に対してこの金額は考えられないような金額です。
参考までに2030年に開業予定である、横浜市営地下鉄ブルーラインの延伸区間「あざみ野駅」から「新百合ヶ丘駅」は距離が約6kmですが、総工費は1600億円ほどを予定しております。
土地の金額が違うので単純な比較はできませんが、それを考慮しても高すぎることが分かると思います。
しかし、開業をするからには総工費を回収しなければなりません。
東急線の一部として開業してしまうと、運賃が東急の基準になるため、それでは採算が合わなくなります。
なので、東急線として開業するのではなく別路線として開業し、東急線よりも割高な運賃を設定するしか方法がなかったのです。
実際にみなとみらい線の運賃は他路線に比べて割高で、全線でたった4kmしかないにも関わらず、乗り通すと220円も必要です。
参考までに東急で4kmを移動した場合は160円です。
1回だけの乗車であれば60円の差ですが、往復すれば120円の差になりますし、通勤で使うとなると、もっと差が広がります。
かなり高い設定ではありますが、建設費を回収するためには仕方のない手段なのです。
高くても乗ってくれる
みなとみらい線がこれほどまでに高い料金設定になっているのは、建設費を回収するためというのもありますが、それ以上に高くても乗ってくれるという理由もあります。
みなとみらいは横浜を代表する観光地であり、終点の元町中華街も大勢の観光客が訪れるエリアです。
JRが並走していますが、みなとみらい線の方が中心地に近く、便利に移動ができます。
観光の場合、少し高くても財布の紐が緩みやすいので大勢の人が乗ってくれます。
また、みなとみらい線のエリアはオフィスが多く、通勤でも多く利用されています。
最近では横浜市庁舎がみなとみらい線の馬車道駅に移転したことから、市の職員も大勢利用します。
こう言った理由から、みなとみらい線の利用者はかなり多く年々利用者は増え続けており、巨額の利子がありながらも黒字を達成しています。
今後も東急線にならないのか?
まだまだ、総工費を返しきれていない状況なのでしばらくは東急線になることは無いでしょうが、総工費を返し終わった後は、東急線の一部として運営され、運賃の見直しが実施される可能性もゼロではありません。
ただ、運賃を安くしなくても観光客は使ってくれますし、通勤客も企業が定期代を負担するので使ってくれます。
なので、現実的に考えて東急と同じ料金になる可能性は極めて低いでしょう。
利用者としては少しでも安くしてくれると嬉しいのですが、数十年は無理そうです。