2020年度、大手鉄道会社はどれだけの赤字を出したのか?赤字が大きい大手鉄道会社ランキング

新型コロナウイルスにより、通勤需要・旅行需要が一気に無くなった2020年は、鉄道業界に大きな損害を与えました。

2021年も引き続き、外出自粛により鉄道需要の回復は遅れていますが、それでも2020年の損害を超えることはないと思います。

ということで、今回は過去を見ても、未来を見ても、おそらく最高額であろう赤字を出した大手鉄道会社の2020年度の赤字をランキングにしてみました。

1位 JR東日本

約5779億円の赤字 (2020年4月〜2021年3月)

日本最大の鉄道会社で首都圏から東北まで東日本全体の鉄道網を担うJR東日本は過去最大の約5779億円の赤字を経常しました。

鉄道部門だけでなく、小売やホテルなどの部門でも大幅な赤字を出しておりかなり厳しい状況です。

不動産やシステム会社など一部の子会社では利益を確保していますが、それでも鉄道部門の赤字が大きすぎて補填できていません。

2021年度の見通しはコロナ前の営業利益2000億円には程遠いものの、700億円ぐらいの黒字になるようです。

ただ、個人的には大幅なコストダウンを実施しても、現実的には難しいのかと思います。

2位 JR西日本

約2332億円の赤字 (2020年4月〜2021年3月)

山陽新幹線・北陸新幹線の一部、関西圏の鉄道網を担うJR西日本は2300億円を超える大幅な赤字を経常しました。

JR東日本と同様に、鉄道部門以外も大幅な赤字を出しており、個人的には2021年も相当厳しい状態が続くと考えています。

ただ、会社の見通しでは、2021年度は120億円ほどの黒字を達成できるようです。

こちらも徹底的なコストカットにより、黒字化を実現させるようですが、競合私鉄の多い関西エリアで、どこまでコストをカット出来るのかが、今後のJR西日本の運命を左右しそうです。

3位 JR東海

約2016億円の赤字 (2020年4月〜2021年3月)

東海道新幹線と東海地区の鉄道網を担うJR東海は2000億円を超える赤字を経常しました。

これまで、業界1位のJR東日本を抑えて、営業利益1位を記録してきたJR東海ですが、出張需要・旅行需要が無くなり、稼ぎ頭の東海道新幹線が全く稼げない状況になってしまいました。

少しずつ戻っているようですが、完全に戻ることは考えにくく、さらに、リニアモーターカーの建設もJR東海の重荷になっているのかと思います。

会社としては方針に変更はないようですが、個人的には東京から大阪間の迂回ルートは北陸新幹線に任せて、新しい柱を作っていくべきではないかと思います。

4位 西武鉄道

約723億円の赤字 (2020年4月〜2021年3月)

西武鉄道の親会社である西武ホールディングスは私鉄では最大の723億円の赤字を経常しました。

さらに、前年比−1648%と、大手鉄道会社の中でトップの落ち込みを記録しています。

理由としては、鉄道よりもホテル、レジャーの割合が大きく、鉄道以上に大打撃を受けたからです。

2021年度は50億円程度の赤字で抑える予想を出していますが、観光自粛が続けば、もっと厳しい実績になるのかと思います。

5位 近鉄

約602億円の赤字 (2020年4月〜2021年3月)

近鉄の親会社である、近鉄グループホールディングスは602億円の赤字を経常しました。

JRを除く鉄道会社の中では日本最大の営業距離を誇り、それだけ維持費もかかります。

大阪・名古屋付近では通勤需要もありますが、それ以外の部分では特急が中心の観光ダイヤとなっており、今後もかなり厳しい状況だと予想されます。

どの会社にも言えることですが、不動産部門を単体で見ると黒字になっていることが多く、近鉄も例外ではありません。

今後は、もっと不動産に注視し、鉄道はそれを売るために赤字でも運転する材料になっていくような気もします。

ちなみに、2021年度は280億円の黒字になる見通しのようです。

6位 東急

約562億円の赤字 (2020年4月〜2021年3月)

日本一住みたい沿線にも選ばれる東急は562億円の赤字を経常しました。

渋谷などはIT企業が多く、そういった企業の出勤率が低下したことにより、鉄道部門が大幅な赤字となりました。

他にも流通やホテルなども打撃を受けており、回復までにはしばらくかかる見込みです。

今後は個人向けのシェアオフィスなど時代に合わせたビジネスを展開していくようです。

7位 東京メトロ

約403億円の赤字 (2020年4月〜2021年3月)

大都市東京の大動脈である東京メトロは403億円の赤字を経常しました。

こちらも東急と同じように出勤率が低下したことにより、大幅な赤字となってしまいました。

また、東京観光をする国内旅行者、外国人旅行者が減ったことで定期外の収益が減ったことも大打撃です。

鉄道以外の事業がほぼないため、他で補填することも難しく、完全復活までにかなり時間がかかりそうです。

8位 小田急

約398億円の赤字 (2020年4月〜2021年3月)

新宿から箱根、江ノ島に結ぶ小田急電鉄は398億円の赤字を経常しました。

小田急も首都圏の通勤需要の低下から鉄道部門で大幅な赤字を経常しました。

しかし、不動産部門はというと前年よりも収益が増え、今後もしばらくは好調な状態が続くのかと思います。

鉄道に関しても、箱根など国内向けの観光地はそろそろ戻ってくるだろうと思われるため、比較的明るい未来があるのかと個人的には考えています。

9位 阪急・阪神

約367億円の赤字 (2020年4月〜2021年3月)

阪急電車・阪神電車を運営する阪急阪神ホールディングスは367億円の赤字を経常しました。

関西の鉄道も通勤需要が減りましたが、エンタメやホテル、不動産部門も需要が伸びませんでした。

他社では好調の不動産部門ですが、商業施設の休館や販売の休止により思ったように売り上げが伸びなかったようです。

さまざまな事業を展開しているため、連結の内訳はかなり複雑になっているのですが2021年度は60億円ほどの黒字を予定しているようです。

10位 京成

約303億円の赤字 (2020年4月〜2021年3月)

成田空港へのアクセスを担う京成電鉄は303億円の赤字を経常しました。

やはり、航空需要が低下したことで、鉄道収益が大幅に下がってしまったことが大幅な赤字の原因です。

不動産やストア事業は好調なようですが、残念ながら鉄道部門を補填できるだけの成長はできなかったようです。

2021年度も航空需要は戻らないと予想されるので、あと数年は厳しい状態が続くのかと思います。

11位 名鉄

約288億円の赤字 (2020年4月〜2021年3月)

名古屋の鉄道網を担う名古屋鉄道は288億円の赤字を経常しました。

名鉄も名古屋の通勤需要の低下に加え、セントレアへのアクセス需要も減り、鉄道部門が大打撃を受けています。

比較的、好調な不動産や運送部門も名鉄では、それほど大きな利益をあげることができず、2019年度を下回る結果となってしまいました。

ただ、2021年度は110億円の黒字を計画しているようですが、個人的には相当頑張らないと厳しいと予想しています。

12位 京王

約275億円の赤字 (2020年4月〜2021年3月)

八王子方面から首都圏への通勤需要を担う京王電鉄は275億円の赤字を計上しました。

鉄道部門の落ち込みはもちろん、主力のホテル部門の落ち込みも酷く、回復が遅れているように感じます。

不動産よりもホテル事業に力を入れてきたこともあり、競合他社に比べ、今後も苦戦が長引くのではと考えています。

2021年度の計画では71億円の黒字としていますが、どこよりも厳しいのかと思います。

13位 京急

約272億円の赤字 (2020年4月〜2021年3月)

神奈川県から首都圏、羽田空港へのアクセスを担う京急電鉄は272億円の赤字を経常しました。

羽田空港の需要落ち込みと首都圏への通勤需要の落ち込みが赤字の原因です。

ただ、国内線を中心に需要が少し戻ってきているので、羽田需要が少しは回復するのかと思います。

一つ懸念があるとすれば、京急はシステムよりも人に頼った鉄道運行を行なっており、人件費の削減が他社に比べると難しい状況です。

システムに頼らないことにより実現できる京急名物「逝っとけダイヤ」ですが、今後も継続できるのか少し不安が残ります。

14位 東武

約250億円の赤字 (2020年4月〜2021年3月)

首都圏最大の営業距離を誇る東武電鉄は250億円の赤字を経常しました。

営業距離が長い分、維持費がかかるのでもっと赤字幅が大きくなるのかと思ったのですが、想像よりは頑張ったのではと思います。

ただ、2021年度の計画は49億円の黒字と他社に比べ控えめな数字を出してきています。

これを現実的と捉えるのか、コストカットにより削減が他社よりも難しい状況だと捉えるのかですが、純粋に現実的と捉えるべきだと思います。

15位 JR九州

約190億円の赤字 (2020年4月〜2021年3月)

九州地方の鉄道網と九州新幹線を担うJR九州は190億円の赤字を経常しました。

上場しているJRの中では一番少ない赤字額となりました。

規模が小さいので赤字額が小さいのですが、不動産販売で利益を出してきたのも赤字が小さくなった要因なのかと考えています。

また、そもそも組織全体がスリムなのも良かった点なのですが、さらにスリム化を進めようとしているのも、評価できます。

ただ、観光列車が多く、それらの回復には時間がかかるのかと考えています。

16位 相鉄

約130億円の赤字 (2020年4月〜2021年3月)

相模鉄道を運営する相鉄ホールディングは130億円の赤字を経常しました。

ついに、JRとの直通運転により都心へ進出したのですが、それが赤字を大きくしてしまった要因でもあります。

さらに、2022年には東急との直通運転も予定されています。

こちらの準備にもキャッシュが必要になるので、かなり苦しい戦いが続くのかと考えています。

ただ、2021年は16億円の黒字を計画しているようで、控えめなものの、難しいのかと考えています。

17位 西日本鉄道

約120億円の赤字 (2020年4月〜2021年3月)

九州最大の私鉄である西日本鉄道は120億円の赤字を経常しました。

鉄道部門、バス部門ともに大幅な落ち込みを記録しており、観光需要も通勤需要も厳しい状態が続いています。

ただ、不動産やストア事業、物流事業は好調で、多少ではありますが鉄道やバスの赤字を補填してくれています。

観光需要がいつ戻るのかにもよりますが、しばらくは厳しい状態が続くのかと思います。

18位 京阪

約46億円の赤字 (2020年4月〜2021年3月)

京都と大阪を結ぶ京阪電車を運営する京阪ホールディングスは46億円の赤字を経常しました。

通勤需要と京都や大阪の観光需要が落ちているのですが、マンション販売が順調で、競合他社と比べると比較的少ない赤字額で収まりました。

また、事業をそれほど多展開していないのも、これだけ赤字が少なくなった要因かと考えています。

19位 南海

約19億円の赤字 (2020年4月〜2021年3月)

大阪と和歌山、関西空港のアクセスを担う南海電車は19億円の赤字を経常しました。

どうして、これほどまでに赤字が少ないのかというと、不動産が好調なのと、空港線以外の需要が戻りつつあるからです。

また、京阪同様に多展開をしていないのも赤字が抑えられている要因です。

なにわ筋線の開業など不安要素もありますが、しばらくは安泰だと考えています。

以上、大手鉄道会社の2020年の赤字額でした。

企業規模や努力により、赤字額は全然違いますが、どの会社も2019年は黒字でした。

つまり、新型コロナウイルスがなければ、ほぼ間違いなく黒字が続いていたということです。

これほどまでに大きな組織を1年で弱体化させてしまうのですから、新型コロナウイルスは本当に恐ろしいウイルスだと言えるでしょう。

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