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巨額の損失を計上し、債務超過になったことから東証2部に降格していた東芝ですが、2021年1月29日に東証1部への復帰を果たすことになりました。
東芝が東証2部に降格したのは約3年半前で、アメリカの原発事業の巨額損失が根本の原因です。
しかし、なぜ巨額の損失が発生してしまったのか、なぜ粉飾決算を行ってしまったかなど、詳しいことは知らない人、忘れてしまっている人も多いでしょう。
今回は、そんな東芝にどんな事があったのか解説していきたいと思います。
どんなことがあったのか?
東芝の巨額損失問題を扱うには話が複雑すぎて、全貌を知るには時間がかかりすぎます。
なので、ざっくりとどんなことがあったのかと言う事をおさらいしていきます。
2015年7月 粉飾決算が発覚
2015年7月に東芝において粉飾決算が発覚します。
2009年から2014年の間に、計1518億円の利益を水増ししていました。
これは内部告発により発覚したもので、ここから東芝の巨額損失問題がスタートしたと言えます。
2015年11月 米原発事業ウェスティングハウスの巨額損失を把握
この頃、アメリカで原発事業を行なってきた東芝の子会社「ウェスティングハウス」が巨額の損失を抱えている事を把握します。
2016年 債務超過回避
原発事業をはじめ、様々な事業の赤字を隠すために行った粉飾決算ですが、それにより債務超過を起こしそうになります。
その時、東芝の取った行動は事業の売却です。
まずは、医療機器事業をキャノンに売却します。
しかし、5月の決算では日本の事業者として過去最大となる7191億円の営業赤字を計上してしまいました。
これにより、白物家電や映像事業などの売却もすることになりました。
2017年 半導体部門の売却
成長分野であり、東芝の稼ぎ頭でもあった半導体部門の売却まで進めていくことになりました。
これを売却すると言うことは、資金は手に入りますが、今後の稼ぎが無くなることを意味します。
2017年3月期の決算発表では9000億円を超える最終赤字でしたので、苦渋の決断ではありますが仕方のない判断と言えるでしょう。
2017年8月 東証2部へ降格
東芝は債務超過を解消できず、東証2部へ降格することになりました。
2018年 債務超過解消
2018年3月期の決算報告により8000億円以上の黒字を計上し、債務超過を解消することになりました。
この8000億円の黒字というのは子会社の売却により得た利益です。
なぜ、粉飾決算をしてしまったのか?
ここまで、簡単な流れをおさらいしてきたのですが、そもそも、なぜ東芝は粉飾決算を行ってしまったのでしょうか。
理由は、単純で稼げなくなってきていたからです。
稼げないのであれば、赤字決算を出せばいいと思うかもしれませんが、日本を代表する総合電機メーカーですので、そんなこともできません。
社内的にはもちろん、国としても赤字を出してほしくないというのが正直なところでしょう。
なので、なんとか黒字化させようと、経営陣は「チャレンジ」と称し、発破をかけていました。
社員たちも相当頑張ったでしょうが、頑張りも虚しく、粉飾決算をするしか方法がなかったのだと思います。
なぜ、稼げなかったのか?
稼げなくなっていた1番の理由は、福島第1原発事故です。
これにより、世界の原発建設がストップしていました。
東芝といえば、家電のイメージが大きいかもしれませんが、稼ぎ頭はインフラ事業である原発だったのです。
この稼ぎ頭がストップしてしまったことにより、全くと言っていいほど稼げなくなっていました。
もちろん、半導体事業など一部は好調でしたが、それでも補填できないぐらいの赤字になってしまったのです。
なぜ、ウェスティングハウスを買収したのか?
東芝がここまで落ちてしまった理由は間違いなく、ウェスティングハウスの失敗です。
そもそも、ウェスティングハウスを買収していなければ、粉飾決算もなかったかもしれません。
どうして、こんなにも赤字を出してしまうウェスティングハウスを買収してしまったのでしょうか。
東芝がウェスティングハウスを買収した目的とは?
東芝がウェスティングハウスを買収した1番の目的は、加圧水型原子炉を手に入れる事でした。
ウェスティングハウスは世界各国に加圧水型原子炉を100基程度、建設をしており、技術・ノウハウを持っていました。
東芝でも当時、日本国内において沸騰水型原子炉を建設していましたが、世界の主流が加圧水型原子炉という事で、技術・ノウハウを手に入れるために買収をしたのだと考えられます。
実は国が後押していた
長年アメリカでは、過去に事故を起こした事もあり、新しい原発の建設が難しくなっていました。
しかし、2005年のブッシュ政権になってから、電力会社や原子炉メーカーに対して、補助金・税の優遇をすることで原発新設を後押ししていきました。
それに対して、反応したのが日本政府で、日本のメーカーも積極的にアメリカへ進出するよう働きかけました。
その時に、ちょうどウェスティングハウスの買収話があり、国としても東芝に買収してもらうのが一番だと考えたのでしょう。
なので、積極的に買うように仕向けたと言われています。
三菱重工が巨額損失を被っていたかもしれない
ウェスティングハウスは、東芝に買収される前、三菱重工と提携していました。
実際に三菱重工が買収するという検討もあったようで、もし買収していたら、東芝が歩んだ道と同じような運命になっていたかもしれませんね。
ウェスティングハウス買収の敗因は買収金額
ウェスティングハウス買収において1番の敗因は買収金額だと思います。
東芝はどうしても手に入れたかった事もあり、当時の相場であった約2000億円を大幅に超える、約6600億円で買収しています。
どう考えても、この金額は高すぎです。
様々な国や企業の思惑が入っており、釣り上げられたのかもしれませんが、相場の3倍以上というのはあり得ませんね。
買収してもウェスティングハウスの技術は手に入らなかった
いくら子会社になったからと言って、ウェスティングハウスの持つすべての情報が東芝に入るわけではありません。
なので、ウェスティングハウスの技術を東芝が使おうとしても、無理な場合があります。
つまり、買収したからといって、東芝が自由に経営できる状況ではなかったと言えるでしょう。
原発という、国家のプロジェクトを扱う会社ですので、仕方のない事かもしれませんが、東芝にとって不利な条件ばかりが課せられていたような気がします。
まとめ
東芝が巨額の損失を出してしまった理由などを解説してきましたが、理解いただけましたでしょうか。
様々な資料を見ながら情報をまとめましたが、あまりにも複雑すぎて認識の違いというのもあるかもしれません。
もし、間違った情報があれば、コメント欄にて教えていただけますと幸いです。