「ラプラスの魔女」を読んでの読書感想文

東野圭吾さんの長編小説「ラプラスの魔女」をご存知ですか。

この小説は「自然現象で殺人が可能なのか」をキーワードに様々な複雑な物語が進んでいきます。

そこで、今回はこの「ラプラスの魔女」を読んでの読書感想文を書いてみました。

読書感想文の宿題や、物語の本質を見極めるためにご利用いただければと思います。

 

「ラプラスの魔女」を読んで

この本の題名であるラプラスの魔女とは何なのだろうか?

そんな疑問からこの本を読むことにした。

 

ある二つの離れた温泉地で硫化水素による死亡事故が発生した。

警察は2か所で偶然にも、同じ硫化水素による事故が起きることは稀であり、殺人事件の線を疑っていた。

その警察の予想とは裏腹に、調査を依頼された大学教授の青江は、屋外での硫化水素殺人は不可能だと断定した。

しかし、調査を進めるうちに殺人の可能性が極めて高い事、そして犯人の目星がついた。

犯行方法は自然現象を利用した殺人で、動機は家族を殺された復讐だった。

現在の科学では説明が難しいが、ある手術によって未来予測の計算が出来る能力を手に入れていた。

もっとわかりやすく言うと、スーパーコンピューター以上の計算を出来る能力を手に入れたという事だ。

それを利用して硫化水素が発生する時間、その硫化水素が致死量に達する場所を予測し、殺したい人物をおびき寄せ殺害した。

そして、第三の事件が発生しようとしていた。

次のターゲットは、犯人の家族を殺した、黒幕「実父」だ。

その犯行を止めようとした人物こそが、タイトルにもあるラプラスの魔女「羽原円華」だ。

「羽原円華」も犯人と同じく、未来予測の能力を有している。

犯人が予測したであろう殺人現場、方法を見つけ出し、犯人の殺人を阻止する事が出来た。

 

もし、このような、未来予測の能力を手にする事が出来た時、人はどのような行動をするのだろうか。

おそらく、多くの人が犯人同様に自分の欲望や利益の為に使う事だろう。

実際に、私がこの能力を有したとき、殺人には使わないとしても、金銭的な利益の為に使う事は間違いだろう。

しかし、「羽原円華」は、犯人にこれ以上の罪を重ねてほしくないという理由から人助けの為に利用した。

自分の命が危険に晒される場面もありながら、犯人の犯行を止めることはどれだけ勇気のいる事か計り知れない。

どうして、彼女はそこまでして犯人を止めたかったのだろうか。

それは、母の死に関係がある。

10歳の頃、母親が自分の目の前で竜巻に呑まれ亡くなっている。

もし、その時に未来予測の能力を手にしていたら、きっとそのような悲劇は防げていたことだろう。

そして、今まさに未来予測を利用すれば、「羽原円華」にとって大切な犯人が実父を殺害するという悲劇を防ぐことが出来る。

そんな事から「羽原円華」は犯人の心を、そして未来を守りたいが為に必死だったのだと思う。

 

さて、ここで実父が、どうして家族を殺したのかと言う疑問も残る。

これについても、しっかり説明がされている。

と言うより、こちらが物語のメインと言っても過言ではない。

実父が家族を殺した動機は、理想の家族ではないという、くだらない理由だった。

自分の思い描いていた、完璧な家族とは程遠く、そんな家族なら必要ないと考え全員を殺そうとした。

そして、実父はブログの中で理想の家族の思い出を書き綴り、偽の真実を作り出した。

そこに、書かれていた内容は誰もが羨む家族の姿であった。

 

しかし、それをして何になるのか。

どんなに素晴らしい家族であっても欠点は存在し、それを補っていくのが本当の家族の姿だと私は思う。

それが出来なかった実父は、偶然にも生き延びた息子に復讐されても当然の事だ。

ただ、殺人と言うリスクを冒してでも、理想の家族を作りたいという事は、過去に何かあるのだろう。

それについては、記されていないが、理想を実現するために手段を選ばない人は、現実にも大勢いる。

しかし、理想とはあくまでも「考えられる上での最高の状態」であり、それが本当の意味で最高なのかは、わからない。

実際に、理想に到達したときも人は満足できない事がある。

それは、理想が変わっていくからだ。

 

この物語において、一番の加害者は紛れもなく、この実父だ。

全ての始まりは、この実父による、くだらない犯行が行われたことから始まった。

「ラプラスの魔女」このタイトルは、「羽原円華」の事を指している。

しかし、魔女とは、一般的に悪魔と契約した悪い人物を指す。

そう考えると、「羽原円華」は魔女と表現するのは違うと思う。

そして、もう一つのラプラスの悪魔とは、実父を殺そうとした犯人を指している。

こちらは、すでに犯行に及んでいる事から、悪魔の表現は正しいと考える。

作者は、どうして魔女と言う言葉が、ふさわしくない人物にあえて、魔女と言う名称を付けたのだろうか。

これには、人はいつ魔女になり、悪魔になるか分からない事を訴えているのだと解釈した。

実際に物語においての犯人も、家族が殺されたという予想もできない出来事と、通常ではありえない計算能力を手に入れた事をきっかけに悪魔になってしまった。

特に、通常でありえない能力や権力を手にしてしまった時、人は大きく変わってしまう。

これは、私も例外ではない。

これらの事から、理想を追い求めすぎる事も悪なのではと考えさせられた。

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