「マスカレード・ホテル」を読んでの読書感想文

東野圭吾さんの長編小説「マスカレード・ホテル」をご存知ですか。

この小説は、都内で起きた連続殺人事件の次の犯行現場が”ホテル・コルテシア東京”だという事を突き止めた警察が、ホテル従業員になりすまし、事件を未然に防ぐという物語です。

そこで、今回はこの「マスカレード・ホテル」を読んでの読書感想文を書いてみました。

読書感想文の宿題や、物語の本質を見極めるためにご利用いただければと思います。

 

「マスカレード・ホテル」を読んで

この本の題名である「マスカレード・ホテル」とはどのようなホテルを意味しているのだろうか。

単純に、警察官がホテルマンに変装をして潜入捜査を行う物語だから、このタイトルを作者が選んだとは思えず、その答え合わせを目的にこの本を読み始める事にした。

 

ホテルマンとして潜入捜査を任された新田は、犯人ではないお客様にも鋭い目つきで対応していた。

それに比べて、ホテルマンの尚美は、怪しいお客様に対しても、丁寧に対応していた。

この二人は職業が違うため、お客様の見方が違うのは当たり前だ。

その結果、衝突する場面もあったが、お互いの職業を理解しあい、少しずつ落としどころを見つけていく。

 

これは、私たちの生活においても見習わなければならない事だ。

例え、本意ではないとしても、状況に応じて相手に合わせたり、相手の気持ちを理解する事はとても大切な事だ。

それが出来ずに、ただ一方的に要求するようでは、この世の中を生きていくことは出来ない。

しかし、現実は自分の事ばかり考えて、相手の立場や環境を理解できていない場面が多すぎる。

私もその一人で、自分勝手に相手の事を考えずに傷をつけてしまう事、相手を不快な思いにさせてしまった過去は何度もある。

その度に、反省しているつもりではあるが、実際は自分でも気が付いていない事も多い。

時と場合によっては、自分の立場や環境を守らなければならない時もある。

特に仕事いおいては、その通りだ。

しかし、この物語にある新田と尚美のように、仕事においても理解できる考え方は本当に素晴らしいと思う。

例え、時間はかかってもいい。

少しずつでも相手を理解しようという気持ちが大事であるという事を再認識させられた。

 

ホテルには、怪しいお客様も大勢訪れる。

特別警戒をしている中では、すべてのお客様が犯人に見えてしまう事も不思議ではないであろう。

実際に尚美にも疑っているお客様がいた。

しかし、その疑いを表には出さず、お客様の要求に合わせていく姿は、本当にホテルマンの鏡だと思う。

ただ、お客様を最優先する考えが、お客様ではない人を悲しみに落としてしまうと言う出来事もあった。

しかも、その事に気が付いたのは数年も経った後だった。

お客様から「ある人が来れば追い返してほしい」という要望があった。

そして、その「ある人」が現れ、宿泊をしたいと申し出たが追い返してしまった。

その結果、真冬の外で数時間も過ごすことになり、流産してしまったのだ。

これは、誰かを守るという事は、誰かを傷つける事につながるという事の典型的な例だろう。

そして、傷つけた事すらも気が付かず過ごしてしまっている事は現実にでも沢山起きているであろう。

 

この物語のタイトル「マスカレード・ホテル」とは、まさしくホテルを訪れるすべての人が仮面をかぶっているという事だ。

新田も、お客様も、尚美も全員が何かしらの仮面をかぶっている。

そして、その仮面は決して取ってはならない。

それが、ホテルマンとしての役割だ。

しかし、その仮面を取る仕事もある。

それが、新田たち警察官だ。

この正反対の両者が同じ場所で奮闘出来たから犯人逮捕に繋がったのだと思う。

考え方が同じ者同士が集まっても何も意味がない。

そんな事を作者は伝えたかったのかと思う。

 

それと同時に、人には様々な仮面がある事も改めて教えてくれた。

私も、家族への仮面、友人への仮面、先生への仮面など、様々な仮面を使い分けている。

そして、その仮面を守るがゆえに、人を傷つけてしまう事もある。

しかし、その守る行為が間違っているかと言われるとそんなことは無い。

例え、人が傷ついたとしても、自分を守る事も大切である。

しかし、その傷ついた人をそのまま放置していてはいけない。

別の方法で、傷を浅くするように努力をしないといけない。

それが出来なかったから尚美は、人の傷を深め、命までも狙われてしまったのだろう。

 

私自身も、いつ同じような状況が訪れるか分からない。

そのためにも、日ごろから相手を理解する気持ち、そして自分の仮面、または相手の仮面を、どこまで守り、どこまで剥ぎ取るかを考えていかないといけないと思った。

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