2021年2月10日にトヨタは2021年3月期 第3四半期実績を発表しました。
実績発表では、昨年4月を底に順調に回復している事をアピールし、2021年度は2兆円の営業利益を出せる見通しだと発表しました。
コロナ禍で消費が落ち込んでいるにも関わらず、どうして前回見通しより、7000億円も営業利益を増やす見通しを出せたのでしょうか。
今回は、トヨタが順調に回復している理由についてご説明していきます。
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自動車の需要が少しずつ増えてきている
2020年1月頃から新型コロナウイルスは全世界的に広がり、それと同時に世界的に消費を控える動きが目立ちました。
その結果、トヨタとしても販売台数を大きく落とし、一番底の2020年4月は前年同期比54%まで落ち込みました。
影響の少なかった日本においても昨年5月には前年同期比67%にまで下がっています。
そこから、少しずつ回復を見せてきており、2020年9月には前年同期比102%を達成しました。
そこからは、前年同期比100%を下回っておらず、販売台数は急激に回復していると言えます。
この要因についてですが、一般的にはコロナウイルスにより、交通機関の使用が控えられ、マイカーの需要が高くなってきたと言われています。
確かに、そのような需要が高くなっているのは事実です。
ただ、個人的には本当にそうなのかと疑問に思う部分もあります。
買い替え需要が後ろにずれただけ
私の予想では、買い替え需要が後ろにずれただけと言う側面も大きいのかと思います。
と言うのも、昨年3月~8月までの販売台数の落ち込みはかなり極端でした。
外出自粛があれほど世界で実施されていたわけですから当たり前です。
しかし、その時期にも買い換えたいと思っていた人は相当多いはずです。
そのような人たちが、少し落ち着いてきた9月~12月にかけて買い替えを実施したのではないでしょうか。
前年の決算は約2兆4000億円の営業利益
営業利益2兆円と聞くと「凄い」と思うかもしれませんが、トヨタの2020年3月期の営業利益は2兆4000億円でした。
つまり、20201年3月期では4000億円も落としているという事になります。
これは、完全にコロナウイルスが要因だと思いますが、これだけ落としているという事実も忘れてはいけません。
確かに、この時期に2兆円の利益はすごいです。
しかし、それでも前年同期比より落としているというのは事実で、直近4か月の販売数が増えているのは一時的なものにすぎないと思われます。
中国市場では順調すぎる成長を遂げている
世界的な販売台数を見ると、明らかに減っているのですが、中国市場に関しては増えています。
昨年2月は一時的に下がりましたが、その後は急回復を見せています。
やはり、中国の成長率は本当にすごいという事が言えるでしょう。
一昔前では、中国と言えば安く生産できる国と言う印象が強かったですが、今や逆転しており、高く買ってくれるお客さんになっています。
昔の中国からしてみれば、トヨタは高級車なんてイメージもあったと思いますが、いまや庶民のブランドとなってしまったのでしょう。
トヨタとしても、かなり中国市場に助けられているのは事実で、中国市場が無ければ、相当厳しい状況になっていたと思います。
結論 買い替え需要の後ろずれ
トヨタが2021年3月期の営業利益見通しを7000億円も増やせた理由は、思った以上に買い替え需要の後ろずれが早く来たという事だと思います。
予想ではもっとずれると思っていたものが、意外と早く来た結果、7000億円も営業利益を増やせると見込んだのでしょう。
ただ、中国市場だけは例外で、中国市場だけは間違いなく伸びています。
これも大きな理由かと思いますが、これに関しては既に織り込み済みだったかもと思っています。
なので、トヨタが上方修正できた理由は買い替え需要が思ったより早く来たことだと考えています。