「がんは、万が一じゃなくて、二分の一。」
こんなキャッチフレーズがあるほど、日本人のがん患者は年々増えてきています。
最新のデータによると、日本人の生涯でがんになる確率は60%に近いとも言われています。
こんなことを聞くと「がん保険」に入った方が良いのではと思うかもしれませんが本当にそうなのでしょうか?
そこで、今回はがん保険に入るべきなのか、それとも入らなくても大丈夫なのかを見ていきましょう。
がんになってしまった時に必要な費用
がんになってしまった時、どのくらいの費用が必要になるかご存知ですか?
何となくの印象で「高そう」なんて思っている人もいるでしょうが、実際はどのくらいなのでしょうか。
治療にかかる費用
- 血液検査、CT、レントゲン、エコーや生検などの検査費用
- 診察費用
- 手術費用
- 調剤薬局で支払う薬代
- 病院で支払う抗がん剤治療などの薬代
- 入院費用
間接的にかかる費用
- 通院のための交通費(ガソリン代含む)
- 診断書や生命保険会社への証明書の作成代
- 入院時の日用品や寝衣代
- 入院時の個室代(差額ベッド代)
- 食事代
種類別の費用
傷病分類 | 入院 | ||
---|---|---|---|
3割負担の場合 | 高額療養費制度 適用後のめやす自己負担 |
||
1日あたり費用 | めやす窓口支払総額 | ||
胃がん | 14,400円 | 279,400円 | 86,700円 |
大腸がん | 15,700円 | 269,300円 | 86,400円 |
直腸がん | 17,100円 | 360,800円 | 89,500円 |
肝がん | 14,900円 | 289,600円 | 87,100円 |
肺がん、気管がん | 14,400円 | 288,600円 | 87,100円 |
乳がん | 16,900円 | 214,900円 | 84,600円 |
卵巣がん/食道がん | 14,300円 | 294,200円 | 87,200円 |
子宮筋腫/上皮内がん | 17,900円 | 260,600円 | 86,100円 |
※参考文献:厚生労働省 医療給付実態調査 平成26年度「第3表 疾病分類別、診療種類別、制度別、件数、日数(回数)、点数(金額)」
※参考文献:厚生労働省 患者調査 平成26年度「閲覧第77表 退院患者平均在院日数、性・年齢階級×傷病中分類×手術の有無別」
多く見積もっても100万円あれば足りる
ご覧いただいた通り、治療費や入院費はそれほど高い物では無く、仕事が出来ない事を考慮しても100万円もあれば十分に生活できるレベルです。
さらに治療が長期化する場合でも日本には社会保障制度が整っているため、傷病手当金・障害年金・障害手当金(一時金)・生活福祉資金貸付制度・生活保護制度が利用できます。
なぜ、がん治療は高額のイメージがあるのか?
実際に見てみると、それほど高額でもないがん治療ですが、どうして高いというイメージあるのでしょうか。
それは先進医療の治療が保険適用外だからです。
例えば、陽子線治療、重粒子治療は通常の治療に比べてピンポイントにがんを死滅させる効果があると言われています。
これらの治療を受けるためには1回あたり200万円~300万円が必要になります。
しかも、保険適用外なので全額自己負担となるのです。
ただ、これらの治療には副作用があり、受けたからと言って必ず良くなる保証もありません。
もし、本当に必要とされるべき治療法であれば、国も保険適用にするはずなので、現段階ではそれほど考えなくて良いと思います。
がん保険の費用
がん保険は加入する年齢によって月々の保険料が変わります。
30歳前後で入った場合、男女ともに3500円程度の保険料が必要となります。(先進医療が対象の高いプランの場合)
これらの費用は、死ぬまでずっと必要な場合が多く、仮に75歳まで生きたとすれば189万円が必要です。
先ほども言ったように例え、がんになったとしても、100万円の貯金があれば十分にも関わらず189万円も必要になるのです。
もちろん、先進治療を受ければ元を取れますが、受ける必要が無い場合がほとんどで、保険会社が儲かるようになっているのです。
更に言うと、がんになれば百歩譲って、損はしないかもしれませんが、がんにならない確率も40%程度ある事を忘れてはなりません。
保険会社から支払われる金額はいくら?
ある保険会社の契約を見るとがんになった場合、一般的な20日前後の入院だとして、おおよそ70万円~100万円程度のお金が入ります。(一時金・入院費・手術費など全てを含めて)
つまり、先ほどの保険料と考えても、それほどお得とは言えない状況です。
もちろん、状況によっては得をする場合もありますが、ほとんど場合は損をする可能性の方が高いです。
ただ、貯金が無い場合は入っておいても損はないと思います。
掛け捨てではありますが、貯金が出来るまでは加入して、それ以降は解約するのもリスク軽減になるかもしれませんね。
がんになる確率とは?
冒頭から、がんになる確率は2分の1と言ってきましたが、本当にその数字は正しいのでしょうか。
確かに生涯においてがんになる確率は2分の1以上です。
しかし、そこには70歳や80歳の高齢でがんを患った数も含まれています。
正直、そこまで高齢になると、がんになったからと言って特別大変な事ではありません。
おそらく、治療も受けずに亡くなっていく事もあるでしょう。
それにも関わらず、がんになる確率を2分の1で計算しているのは保険会社が保険を売る為です。
実際に60歳までの人が、がんになる確率は数パーセントに過ぎません。
結論:がん保険は必要なのか?
結論としては、貯金の有無によって必要か、必要でないかが決まります。
貯金が無いのであれば、月々1000円程度の安いプランでも入っておいた方が安心かもしれません。
ただ、貯金が出来れば掛けてきたお金は返ってきませんが解約するべきです。
保険の本質とは将来のリスクを補う為にあります。
つまり、貯金によって将来のリスクが補われる状況になれば、がん保険に限らず保険は必要ないというのが結論です。