丸の内線はなぜパンタグラフがないのか?

東京メトロ丸の内線のパンタグラフを見たことがありますか?

あまり、パンタグラフに注目しながら電車に乗っている人はいないと思いますが、実は、丸の内線にはパンタグラフがありません。

電車は架線に流れる電気をパンタグラフから受け取り、モーターを回しているので、パンタグラフがなければ走ることができないはずです。

それなのに、丸の内線にはパンタグラフや架線というものが存在しません。

非電化のディーゼル車であれば、電気でモーターを回すのではなく、燃料でエンジンを回しているので、パンタグラフや架線は必要ありませんが、丸の内線で使われている車両は、ディーゼル車ではなく、電気の力を使って走る電車です。

じゃあ、どうやって電気を受け取って走っているの?と疑問に思いますよね。

とうことで、今回は、丸の内線にパンタグラフがない理由を解説していきます。

架線ではなくレールから電気を受け取っている

結論から言うと、丸の内線の車両は架線から電気を受け取っているわけではなく、レールから電気を受け取っています。

レールに電気を流して車輪で電気を受け取るんだ!と思った人もいると思いますが、少し違います。

僕も初めは、車輪から電気を取っていると勘違いしていましたが調べてみると、第三のレールというものがあるようです。

この第三のレールに電気を流して、車両から飛び出した、金属製のパーツで電気を受け取る仕組みとなっています。

この仕組みはサードレール方式(第三軌条方式)と呼ばれ、丸の内線だけではなく、同じく東京メトロの銀座線や大阪メトロ御堂筋線、谷町線など多くの地下鉄で採用されています。

基本的な仕組みはパンタグラフから電気を受け取る、架空電車線方式と同じで、単純に電気を流している場所と受け取る場所が違うだけのようです。

どうして地下鉄ではサードレール方式が採用されているのか?

丸の内線や銀座線では、どうして架空電車線方式ではなく、サードレール方式が採用されているのでしょうか?

理由は、建設コストが安くなるからです。

架空電車線方式を採用する場合、架線を張る分、トンネルを大きく掘る必要があり、それだけ余分に建設コストがかかります。

それに対してサードレール方式を採用すると、小さなトンネルでいいので建設費が抑えられます。

そのため、ほぼ全てが地下トンネルの地下鉄では、建設費用を抑えるためサードレール方式を採用するパターンが多いようです。

だったら、地下鉄以外の鉄道路線も、トンネルの建設費や架線を張るための柱を立てる費用を削減するために、サードレール方式を採用すればいいんじゃない?と思った人も多いと思いますがそれはできません。

理由は、踏切があるからです。

3本目のレールに高圧電流を流すということは、万が一そこに触れた場合、間違いなく感電します。

なので、踏切を設置する必要がある鉄道路線には、サードレール方式を使うことができません。

また、サードレール方式の場合、万が一、人が線路に立ち入った場合のことを考えて、架空電車線方式よりも電圧を小さめ設定するよう義務付けられています。

そのため、サードレール方式を採用すると高速運転ができないので、踏切が存在しない新幹線でもサードレール方式を採用できません。

架空電車線方式よりも摩擦が大きくなりやすく、走行音がうるさくなってしまうことも、地下鉄以外で採用できない理由かと思います。

丸の内線と銀座線以外は架空電車線方式

東京メトロの場合、丸の内線と銀座線以外は架空電車線方式が採用されています。

どうして、他の路線ではサードレール方式を採用しないのでしょうか?

理由は他社線と直通運転を前提に作られた路線だからです。

現在、東京メトロでは、丸の内線と銀座線以外は、他社線と直通運転を行なっています。

そのため、他社線に合わせた規格で建設する必要がありました。

なので、建設費は高くなってしまいますが、架空電車線方式を採用したようです。

東京メトロ以外も同じで、基本的に他社線と直通運転をする地下鉄は、架空電車線方式を採用しているようです。

新しく建設される地下鉄の多くは、他社線と直通することを前提とした場合が多いので、今後は架空電車線方式の地下鉄が増えていくのかと思います。

サードレール方式の線路に落ちたら感電するのか?

サードレール方式の線路に誤って転落した場合、感電するのかということですが、落ちただけでは感電しません。

ただ、第三のレールに触れると感電します。

いくら電圧を低くしているとは言え、鉄道を動かすための電気が流れているので、最悪の場合は命の危険が伴う場合もあります。

今は、ほとんどの路線でホームドアが設置されているので、転落の心配は少なくなりましたが、万が一、転落してしまった場合は、間違っても第三のレールに触れないようにしましょう。

路線によっては、非常停止ボタンを押すことで、第三のレールの電気供給が停止する仕組みもあるようですので、転落した人を見つけたら、すぐに非常停止ボタンを押してください。

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