東急電鉄は、東京・神奈川に8つの路線を走らせる大手私鉄ですが、東横線や田園都市線など誰もが知るオシャレな沿線が多く、住みたい沿線・憧れの沿線として取り上げられる事もあります。
それだけ、人気の沿線という事もあり全体的に乗降者数も多く、一番多い渋谷駅では東横線と田園都市線を合わせて1日100万人以上が利用しています。(2019年度)
2位以降も横浜駅が36万人、目黒駅が28万人、武蔵小杉駅が23万人、溝の口駅が21万人と、多くの乗降者数を記録している東急電鉄ですが、実は3桁台しか利用者がいない駅もあります。
「コロナで利用者が減ったからでしょう?」という声も聞こえてきそうですが、今回使用しているデータはコロナ以前の2019年度のデータなので関係ありません。
「それじゃあ、路面電車の世田谷線の駅とか?」と思ったかもしれませんが、世田谷線の駅はデータ公表されていないので今回は対象外です。
ちなみに、東急の公表しているデータによると世田谷線全線の輸送人員は5万人近くいるので、世田谷線の全10駅で均等に割ったとすると、1駅あたり5000人近くの乗降者数がいることになります。
また、今回紹介する乗降者数が最下位の駅ですが、東急の公表しているデータではないものの、世田谷線で一番乗降者数が少ないと言われている西太子堂駅よりも少ないのかもしれません。
ということで、今回は「世田谷線を除く東急線で乗降者数最下位の駅!」をご紹介します。
乗降者数最下位の駅だけが飛び抜けてる!?
今回紹介する乗降者数3桁の駅ですが、実は、最下位の駅だけが飛び抜けて少なくなっています。最下位がどれだけ少ないか比較をするために、まずはワースト5位の駅から順に乗降者数と駅の特徴を発表します。
乗降者の少ない駅5位/下神明駅(しもしんめい)
1日の乗降者数8702人(2019年度)
下神明駅は、大井町線の停車駅です。
大井町駅の隣駅で駅前には大きな公園や高校などがありますが、全体的には住宅街が広がったエリアです。
都心へのアクセスもしやすく、人気のエリアではありますが、
大井町駅から近い事もあり、大井町駅と下神明駅の間に住んでいる人は、
大井町駅を利用するという事も多いようです。
乗降者の少ない駅4位/大崎広小路駅(おおさきひろこうじ)
1日の乗降者数8633人(2019年度)
大崎広小路駅は、池上線の停車駅です。
五反田駅の隣駅で駅前には高層ビルがあったり、雑居ビルが立ち並ぶ都会的な風景が広がっています。
とても、下位争いをするような駅には見えませんが、どうして乗降者数が少ないのかというと、五反田駅と近すぎるからです。
電車で1分、歩いても10分ほどの距離にあるため、五反田駅から歩く人が多いのかと思います。
どうして歩くのかというと、運賃がかかるからです。
五反田駅までJR線で来て、そこからたった一駅のために東急池上線に乗り換えると130円が必要になります。
それだったら、歩こうという人が大半なのではないかと予想しています。
乗降者の少ない駅3位/蓮沼駅(はすぬま)
1日の乗降者数8577人(2019年度)
蓮沼駅も、池上線の停車駅です。
蒲田駅の隣駅で駅前には飲食店やコンビニなどがあり、暮らす上で必要最低限のお店が立ち並んでいます。
上りホームと下りホーム、それぞれに改札があり、改札内ので移動はできないので、
初めて利用する場合は注意が必要な駅です。
乗降者の少ない駅2位/北千束駅(きたせんぞく)
1日の乗降者数7268人(2019年度)
北千束駅は、大井町線の停車駅です。
大岡山駅の隣駅で駅前には多少お店があるものの、住宅地が広がっているエリアです。
ミニスーパーやコンビニがあるので、買い物に困るという事もなく、
治安もいいので住みやすい街として紹介される事もあります。
ここまで最下位を除く5位から2位をまでを発表しましたが、どの駅も大きな駅の隣駅という特徴があります。
大きな駅の隣駅は、駅間の距離が近く、歩いて行けるので、利用する人が限定されてしまうのかと思います。
それよりも驚くのが、どの駅も7000人以上の乗降者数がいるという事です。
さすが、日本一住みたい沿線を持つ東急!と言いたいところですが、乗降者の少ない駅1位は一気に乗降者数を落として1000人を切り、3桁になります。
そんなに落差のある駅は、果たしてどこなのでしょうか?
堂々!?のワースト1位!東急電鉄で唯一3桁台の駅とは?
乗降者数、最下位の駅以外はどの駅も7000人を超える東急電鉄ですが、唯一、3桁台の駅。
それは、東急こどもの国線の「恩田駅」です。
恩田駅は、こどもの国線唯一の途中駅です。
その乗降者数は、なんと827人しかいません。(2019年度)
どうして、ここまで少ないのでしょうか?
東急こどもの国線とは?
恩田駅の乗降者数が少ない理由を解説する前に東急こどもの国線について解説します。
東急こどもの国線は、長津田駅からこどもの国駅までを結ぶ3.4kmの短い路線です。
こどもの国への観光アクセス路線として営業が開始されましたが、もともとは弾薬を運ぶ専用路線でした。
現在、こどもの国がある場所は、もともと弾薬庫があり、そこに保管された弾薬を運び出すために現在のこどもの国線が使われていました。
しかし、戦争が終わり、弾薬庫が必要なくなり、弾薬庫跡には自然公園が作られることになりました。
ちなみに、こどもの国は平成天皇の成婚の記念として作られ、その費用は平成天皇の成婚祝いで国民から寄付されたお金が使われたようです。
どうして、お祝いでこどもの国が作られたかというと、平成天皇が国民からのお祝いを子供達のために使ってほしいと希望したからのようです。
東急こどもの国線は東急の所有路線ではない!?
東急こどもの国線は、実は東急の所有路線ではありません。
こどもの国線が開業した当初は、こどもの国を運営する社会福祉法人こどもの国協会が所有する路線で、東急は運営委託をされていました。
現在は、みなとみらい線を所有する、横浜高速鉄道株式会社の所有路線となりましたが、これまでと同じように運営は東急に委託されています。
その証拠にこどもの国駅や恩田駅には「横浜高速鉄道」のロゴが掲示されています。
乗降者数が少ない理由は運賃体系にある?
東急こどもの国線「恩田駅」の乗降者数が少ない理由の一つは、運賃体系にあると言われています。
実は、東急こどもの国線は他の東急線とは別の運賃体系を採用しています。
普通、同じ会社であれば、別の路線であっても、単純に駅間の距離で料金が決まるのですが、東急こどもの国線に乗る場合は、これまでの距離運賃とは別に、こどもの国線の運賃160円(切符)が必要です。
なので、田園都市線の長津田駅でこどもの国線と乗り換える場合、自動改札を通る必要があり、
そこで、東急線の運賃精算が行われ、それとは別に160円の運賃が発生します。
ただし、田園都市線の青葉台駅・田奈駅・つくし野駅・すずかけ台駅から乗車する場合は乗り継ぎ割引があり、合算金額から20円を引かれた運賃となります。
このように、他の東急線とは少し違った均一運賃が採用されており、これは定期を購入する場合も同じです。
こどもの国線の恩田駅から長津田駅までの定期を購入する場合、実はこどもの国駅から長津田駅までのこどもの国線全線を乗る事ができる定期を購入しなければいけません。
理由は、先ほども言ったように、こどもの国線では全線均一運賃を採用している関係で、恩田駅からの定期を発売していないからです。
つまり、恩田駅から長津田駅の定期が欲しい場合でも、こどもの国駅から長津田駅の定期を購入する必要があり、恩田駅における定期を利用した乗降者数は0人とカウントされてしまうという事です。
これが、恩田駅の乗降者数が少なく見える理由です。
なので、実際の乗降者数は1000人を超えていると考えられます。
ですが、世田谷線を除く乗降者数ランキングで最下位であることは、さすがに免れないと思います。
恩田駅ってどんな街?
東急電鉄で一番、乗降者数の少ない恩田駅はどんな街なのでしょうか?
恩田駅周辺は住宅地が広がったエリアです。
駅前には駐輪場や駐車場はあるものの、商業施設はありません。
2000年に開業された当時は、駅前に少ないながら商業施設はあったようですが、
それも今は無くなってしまいました。
田園都市線の長津田駅や青葉台駅が近くにあるので、買い物や外食はそちらで、
恩田駅周辺は完全な住宅地として開発されているようです。