サイバーエージェントが提供する「AbemaTV」は2016年の開局から4年が経過しようとしています。
様々なオリジナルコンテンツを制作し、ユーザーを獲得しているようですが、肝心の利益はと言うと赤字です。
当初から「無理な黒字はしない」と同社代表の藤田社長が発言していた事から、計画通りなのかもしれませんが、いつになったら黒字転換するのだろうと考える株主も多いと思います。
一部の意見では単独での黒字化は難しいと言う人すらいます。
しかし、直近の状況を見ると早ければ1年や2年で黒字転換しそうな感じが見えてきました。
今回は、サイバーエージェントが開示しているデータから、いつ頃に黒字をするのか予想してみました。
現在の状況は?
予想の前に現在の状況がどうなっているのか見ていきましょう。
売上高
まずは、売上高を見ていきましょう。
こちらはAbemaTVを含む先行投資の売上高推移です。
かなり順調に推移している事が分かりますね。
2019年には111億円を達成しているとこ言う事で、2020年もさらに期待できそうです。
営業損益
次に見ていただきたいのが営業損益です。
1年目から100億円、2年目以降は200億円の赤字を出すという計画だったので、計画通り推移している状況です。
しかし、よく考えていただきたいのが売上高が上がってると言う事です。
つまり、経費が莫大に増えてきていると言う事です。
この経費の中には、コンテンツ制作費(オリジナル)、コンテンツ仕入 費 (外部)、宣伝費、その他経費が含まれています。
2017年は、オリジナル40%、外部30%、宣伝18%、その他12%の割合で使っていたようですが、2019年はオリジナルコンテンツの制作費が大幅に上がっているのだと考えられます。
確かに、少し前と比べてかなり質の良い番組が増えたので仕方ないのですが、それにしても経費が掛かりすぎるビジネスなんだと改めて感じました。
ダウンロード数
ダウンロード数に関しては、開局3年半で4500万ダウンロードを突破しました。
開局4年を目前にした、2020年9月期第一四半期では4800万ダウンロードを記録しているので、まだまだ伸びるだろうと考えられます。
有料会員数
AbemaTVは基本無料のテレビと同じビジネスモデルなのですが、後から見れるオンデマンド会員サービスも1ヵ月960円で提供しています。
イメージで言うと、日本テレビがHuluも提供しているようなものです。
こちらの会員数は59.3万人を突破しており、単純に1ヵ月1000円計算だとしても5億9000万円が毎月入ってきます。
年間にすると60億円以上になるので、今後も大きな収益の柱となりそうです。
以上が現在のAbemaTVの状況です。
こう見ると、やり方次第では黒字化への道も早い段階で達成できそうですね。
次は具体的にいつ、達成できるのかを予想してみましょう。
いつ、黒字化できるのか?
まず、黒字化にするにあたり必要な売上高を求める必要があります。
現在のクオリティーを維持するのであれば、少なくとも314億円以上の売上高を達成しなければなりません。
しかし、現在の売上高は111億円と微妙な感じです。
あと、200億円を稼いでようやくプラマイゼロになるので、道のりは相当遠いと思います。
広告で200億円は必要
現在、AbemaTVでは大きく分けて3つの売上が存在します。
その一つが広告による売上です。
テレビと同じように番組の途中にCMを流す事でスポンサーからお金を取るビジネスですが、正直そこまで成功しているようには見えません。
細かい収支は公表されていないので分からないですが、多くても50億円~60億円程度で推移していると思われます。
これを4倍近くに増やさなければならないので、少なくとも3年ぐらいは掛かりそうですね。
ただ、電通や博報堂と手を組み、広告枠の販売に力を入れていくようなので、もう少し早い段階で200億円に到達できるかもしれません。
有料会員は2020年内に100万人突破
大きな売上の二つ目である、有料会員については2020年内中に100万人を突破するのではと言われています。
100万人を超える事が出来れば、年間の売上が120億円を超えるので、かなり大きな収益になります。
こちらは、順調に推移しており、予想を上回る可能性も十分にあり得ます。
そうすれば、広告売上がもう少し低くても黒字になりそうですね。
周辺ビジネスは期待薄
3つめの売上である周辺ビジネスとは、ショッピング番組による物販や競輪投票券販売ビジネスなどを指します。
少しずつ、売上は伸ばしているようですが、正直そこまで売上に貢献してくれるとは思えません。
なので、こちらにはあまり期待しない方が良いと思います。
結論
結論としては、広告売上をどれだけ伸ばせるかが、黒字化への第一歩だと思います。
また、経費を大幅に下げるという手もありますが、コンテンツクオリティーを落とすことになり、ユーザーが離れるだけなので、それをやるにはリスクが多すぎます。
つまり、あと3年ぐらいは黒字を期待できないと言う事になります。
これを長いと取るか、短いと取るかは人それぞれですが、このまま定着する事が出来れば、かなり大きなビジネスになると思うので、ここは我慢の時なのかと思います。
間接的な売上貢献もあり
AbemaTVにしても、一昔前に流行ったアメーバにしても、サイバーエージェントからしてみれば、それほど大きな売上はありません。
では、サイバーエージェントが何で稼いでいるかと言うと、広告代理店事業とゲーム事業です。
特に、広告代理店事業においては、メディア事業をやっている事で営業しやすい状況にあります。
理由は、大きな知名度を獲得している事と、自社サービスを成功させたマーケティング力を見せつける事が出来るからです。
これだけでも、AbemaTVの存在する意味はあると言えるでしょう。
単独では赤字ですが、総合的に見ると、サイバーエージェントの知名度を上げる大きな役割を果たしているので、赤字自体はそれほど問題ないのかと思います。