3月に入ってから、コロナウイルスにより原油の需要が大幅に減り価格も大幅に下がっていました。
一時は1バレル=20ドルを下回る場面もありましたが、急回復を見せたりと不安定な相場が続いていましたが、ついに1バレル=マイナス40ドルを付けてしまいました。
これは、先物取引が始まって史上初の出来事で、原油を買っているのに支払う必要がないどころか、お金まで貰えてしまうという経済活動においてあり得ない現象が起きています。
どうして、原油はマイナス相場になってしまったのでしょうか。
そもそも先物取引とは?
そもそも先物が何なのかと言うと、予約みたいな感じだと思って頂ければ大丈夫です。
私生活でいうと、トイレットペーパーが6月に切れそうな家庭があるとします。
今は300円で売っていますが、6月には物流がストップして1000円になっているかもしれません。
しかし、今すぐに家に届いても邪魔になります。
そこで、使うのが先物取引です。
6月に300円でトイレットペーパーを買うという権利だけを購入します。
そうすれば、1000円になっていようが、100円になっていようが、300円で購入できます。
企業では、これが数億円単位になってくるので、少しの変動でもリスクになります。
それを避けるためにも先物取引は多くの企業で取り入れられているのです。
どうしてマイナス40ドルを付けたのか?
今回マイナス40ドルを付けたのは、5月限の原油です。
つまり、この権利を持ち続けていれば5月には原油が届いてしまいます。
普通であれば、届いても在庫を抱えれば問題ないのですが、残念な事に世界の原油需要が下がっており、原油を保存する場所すらない状況です。
なので、損をしてでも良いのでこの権利を別の誰かに売りたいという企業や投資家が多くなり、マイナス相場になってしまったのです。
もう少し分かりやすく説明すると
もう少し分かりやすく説明すると、あなたが3月頃に5月限の原油の値段が上がると思い、原油を買う権利を予約したとします。
この権利は好きなように売れるのですが、5月までに売り切らないと、原油が言えに届いてしまいます。
流石に、原油が家に届いても使い道がないし、置く場所もないし、そもそもそれを運ぶ送料だってめちゃくちゃ高いので赤字になってしまいます。
では、この時あなたはどうするのかと言うと、この権利をお金を払ってでも誰かに受け取って欲しいと思うはずです。
このような話が本当にマーケットで起こってしまったのです。
普通であれば、無料で原油をプレゼントすると言えば、企業は飛びついてきます。
しかし、あまりにも在庫が余っており、保存する場所も無いので、企業も無料でもいらないと言っているのです。
私生活で例えるとゴミの回収と同じですね。
ゴミをプレゼントしているのに、お金を取られるのと全く同じです。
価値のない物を引き取ってもらうにはお金がかかります。
現時点で、5月に貰える原油の価値はゼロ円以下と言う事です。
いつまで続くのか?
このような状況がいつまで続くのかと言うと、それは予想不可能です。
実際に5月限の原油がマイナス40ドルを付けた瞬間でも、1ヵ月後の6月限の原油は20ドル近い値段で取引されていました。
もし、5月末にも同じような状況であれば、6月限の原油も同じようにマイナス相場になってしまうかもしれません。
もちろん、7月限、8月限の原油も同じことが言えます。
更に言うと、今回はアメリカの原油が大幅に下がっただけで、ドバイや北海の原油はそれほど大きく下がっていません。
理由は、アメリカ内での需要が極端に無くなっているからと、受け取り場所の不便さにあります。
しかし、もっと世界的に需要が無くなれば、他の取引所でも同じような状況になってしまう可能性も否定できません。
コロナウイルスが終息するまでは、このような状態が続くと言ってもおかしくないと思います。