東京では当たり前になりつつある、着席保証列車(通勤ライナー等)・有料座席列車(在来線グリーン車等)ですが、関西地方を走るJR西日本の主力列車「新快速」等でも導入を検討している事が分かりました。
現在、関西では京阪電鉄と南海電鉄(泉北高速鉄道)が着席保証列車を運転していますが、運行区間は一部のエリアに留まっており、関西全体で考えれば、まだまだマイナーな存在です。
しかし、兵庫県から滋賀県まで走る「新快速」、大阪府から和歌山県までを走る「関空・紀州路快速」、大阪府から奈良県までを走る「大和路快速」等に着席保証列車が登場すれば、一気に認知度も利用者も増えることが予想されます。
ただ、残念なことに成功は難しいと考えています。
①お金にケチな人が多い
まず初めに、関西人は皆さんが想像している以上にケチな人間です。
高額な家電を買う時は絶対に値切り、例えそれが失敗したとしても、おまけを要求するほどです。
そんな、関西人が一時の快適のために割高な料金を払うとは到底思えません。
せめて、新幹線のように長時間ならともかく、長くても40分~1時間のためにお金を出すようなら、関西人失格と言っても過言ではありません。
②すでに快適すぎる環境
関西の電車は関東に比べて快適な環境が整えられています。
理由は、JRと私鉄の並走区間が多く、早さ・値段はもちろん、快適性でも競いあっているからです。
実際に新快速に乗車された事のある人はご存知だと思いますが、関東の在来線グリーン車並みの快適性はあります。
それぐらい、快適なシートで、スピードも在来線最速と言われる新快速に追加で料金を払うとなると、ドリンク無料ぐらいのサービスが無ければ、有料の価値がないのではと思ってしまいます。
着席保証のメリットは大きいですが、本当の限られた人しか、その価値を感じてくれないのではと思います。
③通勤距離が短い
関西の通勤は関東に比べると短い事が特徴です。
理由は、大阪にそれほど集中していないからです。
東京の場合は、千葉・埼玉・神奈川・栃木・茨城・群馬から多くの人が東京に通勤していますが、関西ではそれぞれの地元で働く傾向が強いです。
なので、必然的に通勤距離が短くなりやすく、着席を保証してもらう価値が少ないと考えています。
④東京ほど混雑していない
そもそもの問題として、関西は関東のように死人が出てしまいそうな満員電車ではありません。
確かに、座れない事の方が多いかもしれませんが、関東のように押し込まれることは稀で、立っていたとしても、それなりのプライベート空間は確保されています。
それに、主要駅で必ずと言っていいほど、乗客の入れ替えが発生するので、長距離になればなるほど、どこかのタイミングで座れちゃいます。
⑤ほとんどの場合、乗り換えが必須
東京の場合は、東京・新橋・渋谷・新宿・池袋などのオフィス街に1本で行ける路線があり、それらの路線で座席保証列車を運転しています。
しかし、新快速に限っては、大阪(梅田)以外のオフィス街はすべて地下鉄や大阪環状線に乗り換えする必要があります。
ですので、帰宅時はともかく、朝の通勤時は快適な環境の後に必ず満員電車が待っているという状況になってしまうのです。
それだったら、別にお金を出してまで快適な時間を買う必要はないのかと思う人が多いのではと思います。
以上、関西では座席保証列車または、有料座席列車が流行らないと思う理由でした。
実際はどうなるかわかりませんが、需要調査や提供方法を検討しながら2022年までの導入を目指しているようです。
ただ、一定数は需要があると思うので、マーケティング次第では大成功の可能性もあると思います。