2021年10月7日の夜、関東地方を震源とする最大震度5強の地震が発生しました。
この影響で鉄道各路線は運転を見合わせたり、徐行運転を行ったりと大きな影響が出ました。
目立った被害では日暮里舎人ライナーで脱輪が発生し、復旧にはしばらくかかる見込みです。
発生時間が遅かったこと、テレワークが進んでいたことにより、帰宅困難者の数は抑えられましたが、それでもタクシー乗り場では行列ができており、動いている路線には人が押し寄せている様子が見惚れました。
8日の朝になると私鉄路線では一部を除いて、ほぼ平常通りの運転を実現できましたが、JRではほとんどの路線で大幅な遅延、運転見合わせが発生しました。
どうして、JRだけが大幅な遅延を発生させてしまったのでしょうか。
今回は、JRだけ復旧が遅れてしまった理由を解説していきます。
点検範囲が広すぎて時間がかかった
遅延や運転見合わせが発生した理由は点検に時間がかかってしまったからです
JRはご存知の通り、私鉄と比べ物にならないぐらい広い範囲、長い距離の路線網で運行しています。
そのため、安全点検をするのにも、私鉄と比べ物にならないぐらい多くの時間や人が必要となります。
台風など事前に発生が予想できるものであれば、人員を確保して私鉄と同じような時間で点検作業が出来るのですが、地震の場合は予想が出来ないのでどうしても時間がかかってしまいます。
この結果、JRのみが大幅な遅延になったと考えられます。
運転再開後も時速35km制限になった理由
JRの各路線も8日7時ごろには、ほぼ運転再開をしていました。
しかし、完全に点検作業が終了していないためなのか時速35km制限の上、運行本数も通常の3割程度での運転となりました。
理由については不明確ではありますが、とにかく運転再開を優先し、安全基準を下げたのだと思います。
運転見合わせで動かないよりも、基準を下げてでも再開してもらえた方が、利用者にとってはありがたいので賢明な判断と言えるでしょう。
山手線と中央線快速だけ復旧が早かった理由
多くの路線で運転見合わせ、速度の制限、運行本数の削減が起きている中で、山手線と中央線快速だけは、比較的早い段階で安全点検が終了したようです。
どうしてなのかというと、利用者の多さと振替輸送が困難だと判断して、点検人員を重点的に配置したのだと考えられます。
山手線は言わずと知れた首都圏の大動脈ですし、中央快速線は並走する路線がなく、私鉄に振替ても利用できない人が大勢発生してしまいます
他の路線を後回しにしてでも、影響の大きなところに重点を置くというのは、結果的に最小限の影響で収まるため、こちらも賢明な判断と言えるでしょう。
JRだけの独自の安全基準もある
詳しい内容は公表されていませんが、私鉄とは異なる安全基準が存在すると言われています。
その理由は、重量のある貨物が走る路線もあるため、より厳しい安全基準が必要だからです。
JRの点検作業に時間がかかる理由は、範囲の広さもありますが、それ以外にも安全基準の違いというところも多少影響があるのかと考えられます。