鉄道が好きじゃない人でもIC料金の方が安そうってイメージがありますよね。
その通りで、2019年10月1日に増税された影響により、一部の鉄道会社を除いてIC料金と切符料金の2つの運賃が誕生しました。
でも、どうして2つの運賃を作るする必要があったの?と思う人もいるでしょう。
確かに、2つの運賃を設定することで運用もややこしくなりますし、鉄道会社だって手間がかかりそうですよね。
それだったら、統一した方が便利じゃんと思うのが普通だと思います。
しかし、鉄道会社には2つの運賃を設定しなければいけない理由があったんです。
2つの料金が誕生した理由
2つの料金が誕生した理由は、切符を購入する券売機の仕様で、一円玉や五円玉に対応できなかったからです。
消費税の増税により、一円単位で運賃が上がったのですが、切符を購入する券売機は一円玉や五円玉の取り扱いができず、一円単位の値上げに対応できませんでした。
それに対して、ICカードは一円単位での料金設定が可能だったので、IC料金は一円単位で運賃が設定されて、切符料金は十円単位で切り上げをする運賃がせっていされました。
どうして、四捨五入ではなく、切り上げをしたのかというと、おそらくですが、ICカードを積極的に利用してほしいと鉄道会社が考えたからです。
切符の場合は、券売機の設置、切符に対応した改札機の設置にかなりの費用がかかり、ICカードよりも多くの経費がかかります。
なので、鉄道会社としてはできるだけICカードの利用率を高めて、ゆくゆくは切符を廃止したいとすら考えているかもしれません。
その第一歩として、IC料金に優位性を付けて、既に普及しているICカードですが、それをさらに伸ばそうと考えたのだと思います。
今の段階では、ICカードの場合、エリアを跨いでの移動ができないので、完全にICカードに移行することはできないと思いますが、
今後も徐々に切符の利用率を減らしていく取り組みが行われると予想しています。
JR東日本では従来の切符ではなく、QRコード型の切符も登場しているので、磁気の切符をみることができるのは、あと数年かもしれませんね。
っと話が脱線してしまいましたが、本題に戻すと、
増税により、2つの料金が誕生し、IC料金の方が基本的には安くなるように設定されたのですが、
一部の区間ではIC料金の方が高くなる区間も存在することになりました。
IC料金が高くなる区間とは?
JR東日本では電車特定区間とそれ以外の区間が存在します。
簡単にいうと、都心かそれ以外という感じです。
この二つの区間には明確な違いがあり、運賃が違います。
例えば、電車特定区間の場合、3kmまでの移動であれば切符が140円、ICカードが136円ですが、それ以外の区間では3kmまでの移動で切符が150円、ICカードが147円に設定されています。
都会の方が1本あたりの電車で多くの人を運ぶことができることから、鉄道会社としては効率よく稼げています。
それを少しでも還元するという意味で、少し安くなっているのかと思いますが、実際のところはよくわかりません。
そして、IC料金の方が安くなると言うのは、この電車特定区間の場合に限ります。
それ以外の区間に関しては、IC料金が安い場合もあれば、高い場合もあります。
つまり、最短距離の中に電車特定区間以外の区間が含まれると高くなるケースがあります。
具体的な例で言うと、東京都を走る八高線は電車特定区間に含まれません。
なので、例えば青梅線の御嶽駅から中央線の八王子駅に行く場合は、最短ルートに八高線が含まれるため、電車特定区間外の料金で計算され、IC料金が682円、切符料金が680円となり、切符料金の方が安くなります。
こう言ったケースは日本全国にかなりあり、首都圏では千葉や神奈川でも存在します。
なぜ、電車特定区間外ではIC料金の方が高くなるのか?
なぜ、電車特定区間外ではIC料金の方が高くなるのかと言うと、切符料金の計算方式に違いがあります。
冒頭で、IC料金を切り上げしたものが切符料金と言いましたが、それは電車特定区間の話です。
それ以外の区間では、IC料金を四捨五入した金額が切符料金となっています。
どうして、このようになったのかは不明ですが、都会じゃない区間では、切符がお得になる区間もあることを知っておいて損はないと思います。
ただ、個人的には、数円の差であれば、便利なICを使うかなと思います。
ちなみに電車特定区間に定義につては、「電車特定区間」で検索すると出てくるので調べていただけると嬉しいです。
切符料金の方が176円も安くなる区間って?
ここまで解説をしてきた通り、基本的にIC料金と切符料金の差は十円以内と言うのが基本なのですが、
中には切符の方が176円もお得な区間があります。
数円であれば、ICカードでいいかなと思ってしまう僕でも、流石に176円も安くなると聞くと切符を買うと思います。
それが、どこかと言うと、新横浜駅から小田原駅間です。
正確には、新横浜駅から小田原駅より先の熱海駅までの区間です。
この区間では、IC料金より切符の方がはるかに安くなります。
実際に料金を見てみると、新横浜駅から小田原駅までIC料金が1166円に対して、
切符料金はと言うと、990円です。
バグなのかと思ってしまうような金額設定ですが、バグではなくちゃんとした料金です。
新横浜から熱海駅の料金も見てみると、IC料金が1518円に対して、
切符料金は1340円です。
こちらは、178円も切符料金の方が安く移動できます。
こんなのあり得ないって思いますよね。
でも、これにもちゃんと理由がありました。
新横浜駅から小田原駅の切符料金が安い理由
新横浜駅から小田原駅までの切符料金がIC料金に比べて176円も安い理由は、新幹線にあります。
新幹線の新横浜駅は新幹線に乗車する場合に限り、横浜駅と同等の扱いを受けます。
つまり、新幹線に乗車する場合は、新横浜駅から小田原駅の距離で計算するわけではなく、横浜駅から小田原駅の距離で運賃を計算することになります。
そうすると、横浜駅から小田原駅の切符料金は、990円ですので、この料金で移動できてしまうというわけです!
しかし、これはあくまでも新幹線で移動した場合の話です。
在来線で移動した場合、新横浜駅は新横浜駅として扱われ、新横浜から小田原の距離で計算されます。
なので、IC料金は新横浜駅から小田原駅の運賃である1166円になります。
いや、ちょっとまてよ! 新幹線で移動した場合の話なのに、なんで在来線で移動しても990円になるの?と思う人もいるでしょう。
僕もそう思いました。
ただ、JRのルールでは新横浜駅から切符を購入した場合、どのようなルートで行くか選択できる権利があり、どのルートで小田原駅に向かってもOKなことになっています。
なので、切符を買うことで新幹線で移動しなくても、新幹線で移動した場合と同じ効力を手にすることができて、横浜駅から小田原駅の運賃で移動ができるというわけです。
では、なぜIC料金は、新幹線で移動したことにならないのかと言うと、ICの場合、在来線で移動するしか選択肢がないからです。
ICカードの残高で東海道新幹線に乗車することができないので、ICカードを使った時点で在来線で移動することが確実になりますよね。
なので、ICカードでは、新幹線料金が適用されないみたいです。
品川方面には適用できない
新横浜駅から品川方面に行く場合は、残念ながら先ほど説明したような選択権はありません。
なので、新横浜駅から品川駅に移動しても、横浜駅として扱ってくません。
それぞれの、距離に合わせた運賃が必要になりますので、切符を購入するより、ICカードで移動する方が少し安くなります。
どうして、こちらは適用がないのかと言うと、横浜駅と品川駅の間は、京急と競合していることから特別料金が設定されています。
また、電車特定区間ということもあって、通常とは異なる取り扱いになっているのだと思います。