2019年にJR線と直通運転を開始し、2022年度下期には東急線とも直通運転を始める相鉄線ですが、直通運転の開始により横浜駅の利用者が減る可能性があると言われています。
横浜駅といえば、相鉄が大家さんと言われるぐらい、相鉄の施設や土地が多く、利用者が減るということは、相鉄の保有資産を減らすということになります。
ということで、今回は、東急線との直通運転により相鉄がどうなっていくのか解説していきたいと思います。
どうして横浜駅の利用者が減るのか?
相鉄はこれまで、他社線との直通運転を行っておらず、相鉄線沿線住民が都心方面に向かう際は、横浜駅まで行くか、途中の大和駅で小田急線に乗り換える必要がありました。
しかし、JRとの直通運転を開始後は、西谷駅からJR直通線に入り、横須賀線、埼京線を経由して川越駅まで1本で行けるようになりました。
これにより、今まで横浜で乗り換えをして、横須賀線に乗車していた人は、直通線を利用することとなり、その分だけ横浜駅の利用者が減りました。
これにプラスして、東急線とも直通となると、さらに横浜駅の利用者は減ることとなります。
コロナウイルスの影響もあり、具体的にどの程度減ったのか比較はできませんでしたが、少なからず影響はあったと考えられます。
横浜駅の利用者が減ると横浜駅の価値がなくなる
横浜駅の利用者が減るということは、横浜駅の価値を減らすということにつながります。
一番わかりやすい例で言うと商業施設の価値が減ります。
横浜駅で乗り換えをするついでに、買い物をする人も大勢います。
その母数が減るわけですから、それだけ分、商業施設の利用者は減ります。そして、冒頭でもお伝えしたように、横浜駅周辺は相鉄の施設が多く、テナントとして貸し出しています。
当然ではありますが、お客さんが減ればテナント料も連動して減っていくことになります。
相鉄としては、鉄道事業も大事ですが不動産業や流通業の収益も大きいので自分で自分の首を絞めていると言えるでしょう。
それでも都心に直通したい理由とは?
横浜駅の価値を減らしてでも、都心に直通したい理由は沿線住民の人口を増やしたいためです。
大手私鉄の中でも規模の小さい相鉄は、もっと沿線住民を増やして効率よく稼ぎ出そうと考えています。
そのためには、便利な鉄道網を提供することが一番で、都心への直通運転が必須です。
また、沿線住民が増えると言うことは別の部分で収益化することも可能です。
例えば、マンション販売・戸建て販売などの不動産事業、相鉄ローゼンなどのスーパーマーケット事業で補填することができます。
また、横浜駅周辺の不動産価値が下がったとしても、それ以外の土地は価値が上がることになります。
こう考えてみると、都心に直通運転をさせる方が、今後の相鉄をもっと発展させることにつながりそうです。
実際は横浜駅の利用者は減らない?
東急線との直通運転が開始されたとしても、実際は横浜駅の利用者はそれほど減らないと考えられます。
理由は、沿線住民が増えると言うことで、通勤客が減った分、その家族などが横浜駅を利用してくれる可能性があるからです。
例えば、直通運転をきっかけに家族で相鉄沿線に引っ越してきてくれたとします。
都心に通勤するお父さんは、横浜駅を利用しないかもしれませんが、お母さんや子供たちは休日に横浜駅に買い物に出かけることもあるでしょう。
このようなケースが増えれば、横浜駅の利用者は、それほど減らないと考えられます。
もちろん、一時的に減ることはあると思いますが、それでもコロナウイルスによる影響を経験した鉄道会社にとっては、微々たる影響にしか思わないでしょう。
なので、直通運転は相鉄にメリットしかないと考えています。
JR直通線はあまり利用されていない
2019年に開業したJR直通線に関して、あまり利用されていないとの声も聞きます。
コロナウイルスの影響はあるとは言え、それを踏まえても少ないと言う印象です。
考えられる理由は金額の高さと頻度の少なさです。
まず、金額ですが西谷から横浜を経由してJR線に乗り換え渋谷に行く場合、IC料金で561円に対して、直通線を使うとIC料金で738円必要になります。
そして、頻度はラッシュ時でも1時間あたり最大5本、日中は2本しか設定されていません。
所要時間が大幅に短くなるならともかく、両者の差は西谷〜渋谷で比較しても直通線が10分ほど短くなるだけです。
これだったら、直通線を使うより、これまで通り、横浜駅で乗り換えをする人が多いのも納得できます。
東横線の直通は利用者が増えるのか?
東横線との直通はJR線との直通よりも期待されています。
と言うのも、頻度が全く異なり、ラッシュ時には両社の起点駅である新横浜駅で14本の電車が設定されると言われています。
このうち、どれだけ直通するか分かりませんが、JR線直通電車よりも多いと予想されます。
また、新横浜に1本でアクセスできると言うことで、都心に向かう利用者だけではなく、新幹線利用者も獲得できます。
ただ、懸念点としては東急東横線との直通運転が実施されない可能性があると言うことです。
まだ明確な発表はありませんが、これまでの資料も見て総合的に判断すると、東急目黒線との直通運転がメインで、東横線と直通する電車は新横浜までしか乗り入れないと考えられます。
東急としてはダイヤに余裕のない東横線に負担をかけたくないのだと思いますが、相鉄としてはまだ諦めきれないため、最終的な決断に至っていないのだと考えられます。
いずれにしても、東急線との直通運転は、相鉄の未来を左右する大きな変化です。
これにより、相鉄の沿線住民が増えるのか注目したいです。